製品と技術クローネ製

製品特長
次世代のデジタル圧力計
高精度デジタル圧力計KDM30シリーズは、従来の圧力計の概念を超えた機能とデザインを追求し誕生しました。またユーザー側に立った設計思考を取り入れ、表示部を見易い方向や角度に330度回転できるフレキシブルディスプレー機構を新たに開発した(すでに日本、米国、韓国の特許を取得している)。 この機構により様々な方向に取り付けても表示部を見易く調整することができる。圧力計の測定スペックとしては、ほとんど全ての測定機能を取り入れ、また接ガス・接液部の材質には耐食性に優れた316Lステンレススチールを採用した。これにより様々な測定媒体に対応可能である。KDM30シリーズは、使いやすさと先進的なデザインと共に、簡単に高精度の計測ができる次世代のデジタル圧力計である。
1. KDM30の基本構成
1-1 2タイプの電源駆動方式
(1)電池駆動タイプ
9V乾電池で使用でき、持ち運んでの計測が容易なハンディータイプである。
(2)外部電源駆動タイプ
DC24Vの外部電源駆動で、4-20mA又はDC1-5Vのアナログ出力とNPNオープンコレクター出力(Hi、Lo、Goの3点)で、ラインのプロセス制御や管理、また装置組み込み等に設置できる。
(3)電源アダプター駆動
実験計測等でDC電源が簡単に用意できないような場合には、AC100VからDC24Vに変換するアダプターを付属するタイプも用意した。
1-2 媒体を選ばない接液部材質
センシング部分は拡散型半導体圧力センサで、センサチップは316Lステンレス製の容器に収納。また同じ316Lダイヤフラムを介して圧力を感知する二重ダイヤフラム方式のステンレスセンサを採用した。このため気体にも液体にも幅広い流体への使用が可能である。
1-3 省エネを意識したLCD表示の採用
表示部は見易いように大型4桁液晶表示(文字の高さ11mm)を搭載。これにより産業界で要求されている省エネ・省電力対策に対応できる。
1-4 豊富な圧力の種類と圧力レンジ
圧力の種類は「ゲージ圧用」「絶対圧用」「連成圧用」の3タイプを用意。また多くの測定レンジも用意し、用途に合わせて選択することができる。
主な製品仕様 | |
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圧力レンジ | 0 - 35kPa ... 70MPa(ゲージ圧) 0 - 100kPa ... 200kPa(絶対圧) -100~100kPa / -100~500kPa / -0.1~1MPa(連成圧) |
精度 | ±0.25%FS ±1digit (直線性、再現性、ヒステリシスを含む) |
媒体 | 液体(水・油)、気圧 ※SUS316Lを腐食させない媒体 |
表示部 | 4桁液晶表示 |
アナログ出力/電源 | 4 ~ 20 mA (DC24V電源) ※電池駆動タイプにはありません |
使用温度範囲 | -10 ~ 60 ℃(電池使用時は電池の使用に基ずくこと) |
温度影響補償範囲 | -20 ~ +60 ℃ |
圧力接続 | G1/4 (オスネジ) |
2. KDM30の独創的コンセプト

2-1 フレキシブルディスプレー機構の採用
従来の圧力計を配管に取り付ける場合、表示部を見易い向きに合わせるにはシールテープの増減や締め付け具合の調整で対応しなければならず非常に面倒であった。また取り付け場所によっては表示が横になるためにエルボー継手で表示の角度を調整する必要があった。 新たに開発したフレキシブルディスプレー機構は圧力計を設置後に表示をを見易い方向に調整できる首振り機構(330℃)と、垂直配管などに取り付けた場合も検査担当の方が首を傾けなくても表示が見易いように表示部に回転機構(330℃)を設け、これらの問題も全て解決した。

2-2 カラーバリエーションの提案
KDM30には本体表示部の色が選べるようにカラーバリエーションを備えた。色は「青」「黄」「赤」の3色を用意している。圧力計を設置する際に「圧力監視の重要性を色別で管理」、「圧力値の大小を色別で管理」、「担当者を色別で区分」、「測定対象の違いを色別で判別」例えば「水のラインは青色」「油のラインは黄色」「空気のラインは赤色」等、色々な利用方法に対応できる。
3. KDM30の各種設定機能
3-1 パワーオートオフ時間の設定
バッテリーセーブの機能で設定された時間を経過すると自動的に電源が切れる。
設定時間は最短30秒から60分までのほか連続使用の選択も可能である。
3-2 バックライトの点灯時間設定
KDM30は暗い設置場所でも表示が見易いようにバックライトが点灯する。 しかしこの機能はバッテリー寿命に影響するため点灯時間が設定できるようにした。 最短5秒から3分までの時間設定のほか、連続点灯または連続消灯も選択できる。
3-3 サンプリングレート・表示レート・移動平均の設定機能
「サンプリングレート」とは圧力値のサンプリング周期の設定である。また「表示レート」は表示される値、および出力信号の周期を設定する機能である。
それぞれ0.1秒から最長600秒の間で設定できる。「移動平均」とはサンプリングレートで取得したデータの平均する回数を設定する。
1から255回の設定が可能である。 これら3つの設定機能を組み合わせることで、脈動のはげしい圧力値を見易くすることができる等、いろいろ便利な機能である。
3-4 ピークホールドとバレーホールドの設定
「ピークホールド」機能とは、例えば材料強度試験において試料体を徐々に加圧していき破断する際の最大圧力、ピーク値を保持する機能である。また逆に最小値を保持するための「バレーホールド」の機能を有し、その用途により使い分けすることができる。
3-5 コンパレータ出力とヒステリシスの設定
制御用や警報用として使用できるNPNオープンコレクター出力を装備している。"Hi"と"Lo"の設定が可能で、比較値の設定とヒステリシスの設定ができる。"Go"出力は"Hi"と"Lo"の条件以外の場合に出力され、ウインドコンパレータとしての利用が可能である。
3-6 正論理・負論理の設定
KDM30は"Hi"、"Lo"、"Go"それぞれの比較値の正論理・負論理の設定ができる。
"Go"出力を負論理で使用することによってフェールセーフの構築が可能である。
3-7 ワンタッチゼロ点補正
「ワンタッチゼロ点補正」とはゼロ点が取れていない場合の強制ゼロや、ある基準圧力値からどのくらいの加圧あるいは減圧があったか等を調べる際の風袋引きに利用できる。例えば容器のリーク検査に使用するケースで、試験圧の10MPaを加圧しバルブを閉じる。10.00MPaの表示を確認後、風袋引きを行い表示を0.00にする。検査時間経過後の表示が-0.50であれば圧力が10.0MPaから9.50MPaまでリークして下がったことが検知できる。
4. 応用事例

4-1 圧力計校正の基準器
国家基準にトレーサビリティのとれた圧力計を使用して現場に設置している圧力計の精度確認の需要が増加している。KDM30はトレーサビリティ体系図・校正証明書・検査成績書の発行が可能である。パッテリー駆動タイプのKDM30を基準圧力計とし、検査対象の圧力計にハンドポンプから試験圧をかけて現地校正が簡単に行え精度確認ができる。
4-2 荷重測定
KDM30は任意の定数を掛ける機能により荷重測定に利用できる。例えばシリンダー内油圧4MPa、シリンダーの直径40mmすなわち断面積1,256平方ミリメートルの場合、5,024[N]の表示調整が可能である。
4-3 容器内圧測定
KDM30の先端に別売りの穿孔針を取り付けて缶・ビン・ペットボトルなどの容器の内圧測定に利用されている。万一測定対象の液体がセンサ部分に付着してもステンレスダイヤフラムのため問題なく使用できる。
4-4 残量監視
容器内のガス圧が規定値を超えて低下した場合、KDM30のコンパレータ機能を警報として利用し残量の監視が行える。
5. オプション
5-1 ブザーの内蔵
測定中の圧力値が設定した比較値(上限又は下限)が超えたことを内蔵のブザーで警報として知らせることができる。
5-2 アナログ出力DC1-5V
電流出力(4-20mA)は標準装備だが、ロガー記録用にデータを取り込む際の電圧出力をオプションで用意した。
5-3 RS232C出力
KDM30の測定している4桁LCD表示値をデジタル出力する。
5-4 選べる2つの無線出力
デジタル圧力計KDM30の無線出力(オプション)には、"Bluetooth"と"Multi wireless"の用途や仕様が異なる2つの無線出力がある。
無線出力は、測定している値をA/D変換ボードの用意や面倒な配線の必要なしで、ダイレクトにPCに取り込むことが可能。
また、PDAなどへも簡単に取り込め、従来データを手書き入力などで行っていた場合に生じる転記ミスなどの防止にも役立ち、またデータロガーの用意もなくこれによりコストが大幅に軽減できる。
保存されたデータは、管理ソフト(無償配布)でCSV形式のデータとしてPC側に保存され、データのグラフ化などを簡単に行える。

5-5 耐衝撃・防塵・防滴用保護カバー
外部からの衝撃や誤って落下させるなどの際の衝撃からの保護、 また埃や水滴からの保護のために使われている(IP65相当)

5-6 高温媒体の測定を可能にするヒートシンク(放熱器)
高温媒体からセンサ部を保護するための冷却用放熱器である。 例えば測定媒体の温度が140℃で周囲温度が30℃の場合、このヒートシンクを取り付けることで65℃近辺まで下げることができ、熱から保護するとともに圧力計測を可能にする。
おわりに
当社の物づくりの基本理念は機能と品質に加えデザイン性を追求した製品開発である。このKDM30の開発に関しても「お客様が求める製品の選定のしやすさ」「考えられる機能の充実」「使い易さと洗練されたデザイン性」を重視し製品化を行った。その結果グッドデザイン賞を受賞し自信をもつ一品である。