赤外線放射温度計の校正2025.12.11
赤外線温度計(放射温度計・パイロメーター)の校正手順は、他の温度センサーの校正手順とは根本的に異なります。
接触式の温度計とは異なり、赤外線温度計は媒体との接触ではなく、物体から放出される放射熱を評価することで測定を行います。
これらの赤外線温度計には特別な校正方法が必要ですが、SIKA社の温度校正器では特許取得済みの特殊な校正インサートを使用することで実現しています。
放射係数0.9994を実現した校正インサート
赤外線温度計で最適な校正結果を得るには、可能な限り理想に近い「黒体」を使用する必要があります。 黒体とは、入射する(干渉する)すべての放射を吸収すると同時に熱を放射する理想的な物体です。 このような理想的な物体の理論的な放射係数は1です。しかし、実際には100%の効率を持つ黒体を実現することはできません。 特許取得済みの赤外線校正インサートを使用することで、放射係数0.9994という物理的限界に極めて近い値を実現できます。
赤外線校正用インサート(特許取得済み)の特徴
このインサートの特徴は、赤外線温度計が向けられる校正面が校正ブロックの奥深くに位置していることです。 これにより、校正面の熱放射に影響を与える空気の流れを遮断します。 さらに、校正インサートは非対称の内部構造を採用しているため、干渉波が校正インサートの底面、つまり校正面まで侵入するのを防ぎます。 この構造により、従来の温度計と同様に校正面の設定温度を用いて校正器と放射温度計の比較校正が可能となります。


