HACCP義務化と温度管理【失敗しない測定器選びのコツ】

HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の義務化に伴い、食品を扱うすべての事業者様にとって、日々の温度管理と記録は今や欠かせない業務となりました。しかし、「具体的に何から始めればよいのか」「とりあえず温度を測って記録すれば良いのだろうか」といった疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は、HACCPへの対応は、単に温度を記録するだけで完了するわけではありません。適切な衛生管理の仕組みを構築し、信頼できる機器で正確な記録を残すことが求められます。この記事では、HACCPの基本から、なぜ温度管理が重要なのか、そして信頼性の高い温度データロガーを選ぶべき理由まで、分かりやすく解説します。
目次
HACCPとは?
HACCPとは、「Hazard Analysis and Critical Control Point」の頭文字を取った言葉で、日本語では「危害分析重要管理点」と訳されます。これは、食品の安全を脅かす可能性のある要因(ハザード)をあらかじめ分析し、製造工程の特に重要なポイント(重要管理点)を継続的に監視・記録することで、製品の安全性を確保する衛生管理の手法です。
日本では2021年6月に原則義務化され、事業規模に応じて『HACCPに基づく』または『HACCPの考え方を取り入れた』衛生管理を実施する必要があります。
これまでの衛生管理は、完成した製品の一部を抜き取って検査する方法が主流でした。しかし、この方法ではすべての製品の安全を保証することは困難です。一方でHACCPは、原材料の受け入れから製造、出荷までのすべての工程に目を向け、食中毒菌の汚染や異物混入といったリスクを未然に防ぐことを目的としています。
この考え方に基づき、原則として食品の製造・加工、調理、販売などを行うすべての事業者は、事業所の規模に応じたHACCPに沿った衛生管理計画を作成し、実行することが法律で義務付けられています。
HACCPに対応するための温度管理
HACCPの考え方において、温度管理は極めて重要な役割を担います。多くの食中毒菌は、特定の温度帯(一般的に10℃~60℃)で活発に増殖するため、食品をこの危険温度帯に置く時間を可能な限り短くすることが食中毒予防の鍵となります。そのため、多くの食品関連事業者にとって、食中毒菌というハザードを科学的に除去・低減できる「加熱」や「冷却」の工程が、特に重要な管理点(CCP)として設定されることが多くあります。
具体的には、以下のような工程で正確な温度管理と記録が求められます。
- 原材料の搬入・保管: 食品ごとに定められた適切な温度で保管されているかを確認し、記録します。
- 調理: 食材の中心部まで十分に加熱し、食中毒菌を死滅させます。
- 調理後の冷却・保管: 調理後の食品を速やかに冷却し、菌の増殖を防ぎます。
- 出荷・配送: 製品を消費者に届けるまで、適切な温度を維持します。
HACCPへの対応に必要なのは温度管理だけではない
「HACCPとは温度管理のことである」という認識が一部で広まっていますが、それはHACCPの一側面に過ぎません。HACCPが効果的に機能するには、施設の清掃や従業員の衛生管理といった「一般衛生管理」の徹底が不可欠です。
いくら加熱工程の温度を正確に記録していても、調理器具が汚れていたり、従業員の手が不衛生だったりすれば、そこから食品が汚染されてしまう可能性があります。
日々の基本的な衛生管理という土台を固めた上で、初めて重要管理点(CCP)である温度管理が意味を持ちます。そして、その重要な温度記録を、いかにして「正確」かつ「効率的」に残していくかが、HACCP対応における次のステップとなるのです。
HACCP対応におすすめのマジテック社の温度データロガー
HACCPで求められる温度管理を手作業で行うことには、限界があります。紙の記録表への手書きやタブレットへの手入力は、記入ミスや記録漏れといったヒューマンエラーが発生しやすく、忙しい現場では大きな負担となります。また、データの改ざんリスクや、後からの集計・分析の手間も課題として考えられます。
そこで有効なのが、IoT技術を活用した温度データロガーによる管理の自動化です。温度データロガーは、設定した間隔で自動的に温度を計測・記録してくれる機器で、HACCP対応の強力な味方となります。
市場には安価な製品から高価な業務用製品まで様々な温度計やロガーが存在しますが、HACCP対応を確実に行うためには、信頼性の高い専用機器の選定が重要となります。安価品は精度や耐久、校正・トレーサビリティ、改ざん耐性の面で要件を満たせない場合があり、監査での説明が難しくなることがあるからです。万が一、食中毒事故が発生した際に、自社の管理体制に問題がなかったことを客観的に証明するためには、定期的に校正された高精度な機器による記録が不可欠なのです。
その点、マジテック社の温度データロガーは、高精度かつ堅牢な設計で、レトルト殺菌のような高温環境から冷凍庫まで、幅広い用途に対応するラインナップが特長です。
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高精度かつ堅牢な設計:現場使用に耐える信頼性
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広い温度レンジに対応:レトルト殺菌などの高温環境から冷凍庫までカバー
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専用ソフトウェア対応:データの収集 → グラフ化 → 分析までを簡単に実施
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HACCP要件の記録・保存を効率化:監査対応を確実にサポート
たしかに初期投資は必要となりますが、長期的メリットとして「作業負担の軽減」「ヒューマンエラーの防止」「食の安全に対する信頼性の向上」などが挙げられます。
まとめ:HACCP対応の測定器なら株式会社クローネにお問合せください
HACCPへの対応は、単に法律で定められた義務を果たすためだけのものではありません。食の安全を守るための仕組みを自ら構築し、実践することで、食中毒などのリスクを低減し、お客様からの信頼を獲得するための重要な取り組みです。
そのためには、適切な測定器を選ぶことが、衛生管理レベルの高さを客観的に証明する上でも非常に大切となるのです。
マジテック社の製品を取り扱う株式会社クローネでは、お客様の運用環境や課題に合わせた最適な温度データロガーをご提案しています。HACCP対応の測定器選びでお悩みの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。