計測機器や各種センサの原理・使い方を徹底解説

圧力計で測定できる「絶対圧」「ゲージ圧」「差圧」の違いと用途

圧力計を見る外国人男性

圧力とは、表面の単位面積あたりに加えられる垂直力の量のことです。圧力計は、この圧力を測定するために使用されます。圧力を正しく理解し測定するためには、その圧力がどの基準点で考えられているかを考慮することが重要です。圧力計で測れる圧力の種類は、この基準点を元に「絶対圧」、「ゲージ圧」、「差圧」に分類されます。

ここからは、「絶対圧」、「ゲージ圧」、「差圧」の違いをより詳しく解説していきます。

絶対圧とは

圧力計
絶対圧とは、完全な真空中を基準にして表示する圧力のことです。完全真空時の圧力をゼロとすることから、「絶対」と名付けられています。絶対圧は、世界中のどこで測定されたかに関係なく、同じ圧力となり、常にゼロ以上を示します。

最も一般的に用いられる絶対圧は気圧です。天気予報などで、980hPa(ヘクトパスカル)や、1000hPa(ヘクトパスカル)などと表現されますが、それらは全て絶対圧力を表しています。

絶対圧を測るための絶対圧力計には、一般的に検知用のダイアフラムが用いられます。検知ダイアフラムの後ろ側を真空にしてシールすることで絶対圧力を測定できるようにしています。

絶対圧力計は、気象観測所では、大気圧を測定するために使用され、気象パターンの予測や天気予報データの提供にも役立っています。その他、真空ポンプや食品包装業界、密閉されたタンク(絶対真空時)からの液体・気体の漏れチェック、圧力低下の測定などでも使用されています。

ゲージ圧とは

圧力計
ゲージ圧とは、大気圧を基準にして表示する圧力のことです。大気圧とは、「空気の重さによる圧力」のことで、普段の生活で人間が当たり前のように受けている圧力です。(当たり前すぎて、生活の中で大気圧を感じることはありません。)

人間が大気圧の高低を最も感じられるのは、標高の高い山の山頂です。山頂では、地面に乗っている空気の量が少ないため、空気の重さによって生じる大気圧は、普段生活している平地と比較すると、小さくなります。(大気圧が下がると空気も薄くなります。空気が薄くなると、それに応じて含まれている酸素の量も少なくなるため、山頂で立ちくらみやめまいがしてしまうことがあります。)

ゲージ圧は、この大気圧を基準にしていて、大気圧より高い圧力を「正圧(+)」、大気圧より低い圧力を「負圧(-)」と呼んでいます。

ゲージ圧を測るためのゲージ圧力計には、ブルドン管、ダイアフラム、ベローズ式などの圧力計がありますが、いずれも測定点の反対側を大気に解放することで、大気圧を基準とした圧力を計測できるようになっています。

ゲージ圧力計は、水位測定や血圧測定、車のタイヤの空気圧の測定など、大気圧がすでに存在していることを前提とした環境での圧力測定に使用されています。

ゲージ圧力計の注意点は、大気圧を圧力の基準にしているため、測定場所や天候などの大気圧の変動に応じて、測定圧力が変化してしまうことです。そのため、ゲージ圧力計での測定時には、大気圧を考慮・補正して圧力を確認する必要があります。

差圧とは

差圧計
差圧とは、任意の圧力を基準として表示する圧力のことで、差圧は基準としたい圧力ポイントからの圧力を差として示しています。

圧力の差を確認するため、「正圧(+)」と「負圧(-)」のどちらの場合もあります。

差圧を測るための差圧計では、ピストンやダイアフラムなどが用いられ、基準点とする1点と、もう片方の点を接続して相対的な圧力の差異を測定します。差圧は、絶対圧やゲージ圧とは異なり、微小な差異が問題となる場面も多く、そうした微小な差圧を測定する差圧計は、微差圧計と呼ばれています。

差圧計は、コンプレッサタンクと関連する給水ラインの2つの容器内の圧力を維持するための相対圧力測定や、エアコンなどのファン効率のテストなどに使用されています。また、医療分野では、深部静脈血栓症、輸液ポンプ、人工呼吸器、呼吸検知装置の治療などにも使われています。

絶対圧、ゲージ圧、差圧の違いを図解

ここまで解説した「絶対圧」「ゲージ圧」「差圧」を図で表すと以下のようになります。
「絶対圧」「ゲージ圧」「差圧」の違いと用途
必要となる圧力計は、使用目的や測定する圧力によって種類が異なります。

 

圧力計の主な用途

圧力計の用途として、代表的な事例を3つ紹介します。

■気圧測定・タイヤ圧測定

配管やタンク内の気体の圧力測定が、圧力計を利用する代表例の1つです。たとえば、コンプレッサーから供給される配管内の圧力を監視し、コンプレッサーをより効果的・効率的に運用する目的で用いることがあります。タイヤの中に充填されている空気の圧力を測定する目的でも、圧力計が用いられます。

気圧測定やタイヤ圧測定でよく用いられる圧力計が、クローネの「KDM30シリーズ」です。「KDM30シリーズ」は、フレキシブルディスプレイ機構を採用していて、広範囲の条件で表示部を見やすい角度に調整でき、測定者や施工者の手間や負担を軽減することが可能です。工場等の配管やタンク内の気体や液体の圧力を測定する用途でよく用いられています。

>>クローネ製「KDM30シリーズ」

 

■油圧制御

自動車のブレーキやエレベーターなどに使われる油圧を制御する目的でも、圧力計が使われています。圧力計で測定した結果を油圧制御のシステムにフィードバックすることで、機械を適切にコントロールできるからです。

油圧制御で用いる圧力センサのおすすめは、Huba Contorol社の「520シリース」です。「520シリーズ」は、圧力測定セルがOリングなしで完全に溶接されているタイプで、気体・液体・アンモニアを含む冷媒など幅広い流体に使用できるので、油圧機器の制御にも最適なセンサとなっています。

>>Huba Contorol製「520シリーズ」

 

■呼吸器等の医療用途

呼吸器などの医療用途でも、圧力計が使われています。呼吸器を通じて送る空気は、人体にとって適切なレベルで制御する必要があり、そのコントロールのために圧力計が使われているのです。

呼吸器等の医療用途で用いる圧力センサのおすすめは、Validyne(バリダイン)社の「DP15シリーズ」です。「DP15シリーズ」は、小型・軽量・シンプルな構造で振動や衝撃に強く、温度特性に優れていて、圧力変動に高速応答できる特長があるので、医療用途として最適なセンサとなっています。

>>Validyne製「DP15シリーズ」

 

 

測定した圧力データを遠隔で送信する方法

アナログ無線変換器
「測定した圧力を手軽にパソコンなどにデータとして取り込みたい」

そんなニーズに答えられるのが、アナログ信号を遠隔でパソコンに送信できるアナログ無線変換器です。クローネが販売するアナログ無線変換器には、以下のような特徴があります。

■アナログ信号を手軽にパソコンに送信できる!

クローネのアナログ無線変換器は、圧力・流量・温度センサや、既存の設置計測機器等のアナログ出力(4-20mA、1-5V)を無線データに変換し、パソコンに送信できます。送信されたデータは、当社無償モニタソフトで設定した任意の数値に変換され、パソコン上に表示されます。また、センサへの電源供給24VDC(USB駆動のみ)ができるため、容易にシステム構築が可能です。

■作業現場や危険エリア等での確認作業を削減できる!

通信距離見通し約100mのため、見えにくい位置での測定作業や危険エリアに入ることなく、手元のパソコンで測定データを確認することができます。施工者が設置位置を考える負担や、使用者が圧力表示を確認するときの負担を軽減が可能になります。

 

なお、測定した圧力データを遠隔で送信する方法は、【IoT】測定器を無線化するメリットに詳しく記載しているので、あわせてご覧ください。

 

 

まとめ

圧力は、その計測方法によって、絶対圧、ゲージ圧、差圧の3つに分類され、どれを計測するかによって購入すべき圧力計も変わってきます。利用環境に応じて、適切な圧力計を選定するようにしましょう。もし、圧力に関してご不明な点がございましたら、当社までお気軽にお問い合わせください。

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