計測機器や各種センサの原理・使い方を徹底解説

校正器とは?圧力計や温度計に校正器が必要となる理由

2022.06.06

温度校正器

測定器を長く利用するときに必要不可欠な作業が校正です。校正とは、測定器の精度を、標準器と比較して、測定器の誤差を確認する作業のことです。いくら精密に計測できる測定器であっても、その測定が正確でなければ、測定器を使う意味がありません。 そのため、測定器は定期的に校正する必要があり、その校正作業で活躍するのが校正器です。

 

校正器とは?

校正器
校正器とは、測定器を校正するための機器のことで、標準となる機器でもあることから標準器とも呼ばれます。校正器の値と測定器の値を比較することで、測定器に発生している誤差を把握できます

測定器で頻繁に発生する誤差は、スパン誤差とゼロ点誤差です。スパン誤差とは、測定器の上限値と下限値の差が広がってしまう誤差のことで、ゼロ点誤差とは、測定器の下限値に生じる誤差のことです。グラフで表すと以下のようになります。

スパン誤差とゼロ点誤差
スパン誤差もゼロ点誤差も、校正器を使うことで把握できます。

 

校正が必要となる理由

whyのテキスト
測定器を長く使っていると、環境変化によって内部部品の微小な変形が生じます。微小な変形が積み重なると、測定結果に影響を与える誤差が発生します。誤差を生じると公表されている測定器の仕様からずれてしまい、正しい結果を表示できません。

測定器を校正しないまま使っていると、重要な実験結果を誤って解釈したり、本来であれば不合格にしなければならない製品を合格にしてしまったりするなど、さまざまな悪影響を及ぼすおそれがあります。そこで、定期的な校正を実施して、測定器が仕様どおりの動作ができているかを確認する必要があるのです。

校正には社外で実施する校正と、社内で実施する校正があります。校正の方法や頻度に公的な決まりはなく、社内規則の中で方法と頻度を決定します。生産現場で使う測定器の場合、品質マネジメントシステムの中で方法と頻度を定めて運用するのが一般的です。

 

校正の原理

Principlesの文字
校正器は、対象となる測定器に応じてさまざまな物理現象を利用して正しく校正できるようにしています。主な校正器と、代表的な方法を下表に示します。

校正器 代表的な方法
温度校正器 金属ブロックを加熱し温度が安定した状態で、標準センサーによって計測された温度と、校正対象となる温度計の表示との差を比較して校正します。
圧力校正器 一定の面積にかけた荷重で正確な圧力を発生させて、その圧力と校正対象となる圧力計の表示との差を比較して校正します。
湿度校正器 飽和塩法と呼ばれる湿度発生原理を用いて、基準となる湿度と校正対象となる湿度計の表示との差を比較して校正します。
荷重校正器 重りによって荷重を発生させて、その荷重と校正対象となる荷重計の表示との差を比較して校正します。回転軸から距離のある場所に荷重を発生させることで、トルク測定器の校正もできます。

この他にも、電圧、電流、時間などの測定器に対しても、それぞれ校正器が存在します。

 

校正器の種類

さまざまな種類の校正器がある中で、株式会社クローネが取り扱っている代表的な校正器は、圧力校正器と温度校正器です。

|圧力校正器

Halstrup社の圧力校正器
ドイツHalstrup社の圧力校正器KALシリーズです。KALシリーズには、3つのタイプがあります。

■KAL200シリーズ

高精度、バッテリー内蔵

KALシリーズは圧力計・圧力センサを高精度に校正する為に開発されました。 特に微圧(0~±100Pa~±100kPa)の校正において効力を発揮します。本体のキー操作ひとつで設定圧の%毎にアップ・ダウンさせることが出来、多ポイント校正を容易に行えます。また、キャリブレーション機能の他に、計測機能の切替によって、高精度な差圧マノメータとしても使用できるのも特長のひとつです。

製品詳細:https://www.krone.co.jp/hal_cal_KAL200.html

自動でゼロ点調整できる高精度かつ長期の安定性を誇る圧力校正器です。シンプルなメニュー操作で単位変換、校正ポイントの設定、測定レンジの設定が可能で、ボタン1つで基準圧力を作れます。正負の差圧にも対応しています。圧力発生機が内蔵されているので、外部の圧力発生装置を必要としません。精度は0.1%F.S±1digit(≧500Pa)、0.3%F.S±1digit(100Pa)と極めて高精度となっています。

 

■KAL100シリーズ

バッテリー内蔵


KALシリーズは圧力計・圧力センサを高精度に校正する為に開発されました。 特に微圧(0~±100Pa~±100kPa)の校正において効力を発揮します。本体のキー操作ひとつで設定圧の%毎にアップ・ダウンさせることが出来、多ポイント校正を容易に行えます。また、キャリブレーション機能の他に、計測機能の切替によって、高精度な差圧マノメータとしても使用できるのも特長のひとつです。

製品詳細:https://www.krone.co.jp/hal_cal_KAL100.html

基本機能はKAL200と同じで、精度に違いがあります。KAL200シリーズほどの精度が要求されない場面で利用されます。

 

■KAL84シリーズ

KAL84シリーズ手動タイプ


KALシリーズは圧力計・圧力センサを高精度に校正する為に開発されました。 特に微圧(0~±100Pa~±100kPa)の校正において効力を発揮します。また、キャリブレーション機能の他に、計測機能の切替によって、高精度な差圧マノメータとしても使用できるのも特長のひとつです

製品詳細:https://www.krone.co.jp/hal_cal_KAL84.html

手動で圧力を調整するタイプの校正器です。

 

|温度校正器

SIKA(ジカ)社の温度校正器
ドイツSIKA(ジカ)社の温度校正器TPシリーズです。TPシリーズには、大きく分けると3つのタイプがあります。

■TP Premiumシリーズ

必要な項目をすばやく簡単に入力できるタッチディスプレイが特徴の温度校正器です。ブロック温度と設定温度、および安定度の差や分散などがすべてタッチディスプレイに表示されます。ブロック温度は、最高0.07℃の精度で設定でき、最大で700℃までの温度範囲で動作します。

■TP Solidシリーズ

直感的に操作でき、さまざまな機能に素早くアクセスできる温度校正器です。ドライブロックに加えて、マイクロ校正槽も用意しています。形状、サイズ、測定方法などに関係なく、さまざまな温度計を校正可能です。本シリーズでは、全機種にシリアルPCポートを装備しています。

■TP Basicシリーズ

携帯性に重点を置いた温度校正器です。アダプタースリーブを使用することで、さまざまな長さと直径の温度計を校正できます。

それぞれのタイプで温度範囲、精度、校正対象となる測定器ホルダーの直径と深さ、オプション機能などバリエーションがあり、合計で22種類の型番があります。

製品一覧:https://www.krone.co.jp/sika_temp.html

 

まとめ

校正は測定器の正しさを担保するために欠かせない作業です。その校正を支えるのが、高い精度と信頼性に裏付けされた校正器です。株式会社クローネは世界的にも実績のある校正器を多数扱っているので、お客様のご要望にあわせて最適なご提案をしてまいります。詳しくは、株式会社クローネまでお問い合わせください。

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