計測機器や各種センサの原理・使い方を徹底解説

脱炭素の鍵を握る「流量計」水素エネルギーの計測技術

2025.10.06

近年、脱炭素社会の実現に向けた動きが世界的に加速しています。その中で、次世代のクリーンエネルギーとして大きな期待が寄せられているのが水素エネルギーです。今回は、流量計というキーワードで情報を探されている方に向けて、脱炭素と水素エネルギーの文脈で流量計が果たす重要な役割について、分かりやすく解説します。

 

脱炭素で注目される水素エネルギー

地球温暖化対策が世界的な課題となる中で、二酸化炭素(CO₂)を排出しないクリーンなエネルギー源への転換が急務となっています。そこで、燃焼時に水しか排出しない水素が、未来のエネルギーとして大きな注目を集めているのです。

水素エネルギーの利活用は、製造・輸送・利用の各段階で技術開発が進み、再エネ電力による水電解、燃料電池発電、FCVなどへの適用が拡大しています。

また、水素は非常に軽くて体積が大きくなるため、効率的な輸送や貯蔵が課題となります。このため、水素をアンモニア(NH₃)などの物質に変換して運び、利用する場所で再び水素を取り出す「水素キャリア」という技術も開発が進んでいます。

このように、様々な産業分野で水素の実用化に向けた実証実験が進められていますが、どの領域においても不可欠となるのが、水素の量を正確に計測・制御する技術です。

 

脱炭素で求められる流量計は?

流量計は、気体や液体が単位時間あたりにどれだけ流れたかを計測する機器です。私たちの生活では水道やガスのメーターとして身近な存在ですが、産業界においては品質管理や安全確保、そしてエネルギー管理に欠かせないツールと言えます。

脱炭素化の流れの中で、従来の都市ガスやガソリンといった化石燃料から水素やアンモニアなどの次世代燃料へ転換する際、これまでの流量計がそのまま使えるわけではありません。特に水素の流量計測には、特有の難しさがあります。

その理由は、水素が宇宙で最も軽い元素であり、非常に密度が小さいという特性によるものです。また、分子が小さいために漏れやすく、可燃性・爆発性があるため、取り扱いには精密な制御と安全性が求められます。

このような特性を持つ水素を正確に計測するためには、温度・圧力を同時測定し補正することで、体積流量・質量流量の精度を確保する仕組みが求められます。なぜなら、水素は気体の温度や圧力によって体積が大きく変化するため、計測値に誤差が生じやすくなるからです。したがって、脱炭素社会の実現に向けて、水素や、水素と他の気体を混合させた流体を正確に計測するには、今まで以上に高性能な流量計が必要となるのです。

 

ALLENGRAの水素流量計

こうした時代のニーズに応えるため、株式会社クローネでは、新たにALLENGRA社製の水素流量計の取り扱いを開始しました。この製品は、脱炭素化やカーボンニュートラルを目指す企業や研究機関にとって、強力なソリューションとなり得ます。

ALLENGRA社の水素流量計は、超音波を利用して水素および混合ガスの流量を精密に測定するために開発されたセンサーです。この流量計の大きな特徴は、体積流量だけでなく、質量流量やガスの組成まで把握できる点にあります。

具体的には、センサー内部に温度センサー、圧力センサー、さらには湿度センサーまで統合されています。これらのセンサーで得られた情報と、体積流量の計測値を組み合わせることで、理想気体の法則に基づいて質量流量を算出します。これにより、純粋な水素はもちろん、燃料電池のアノード(燃料極)側で発生する水素・窒素・水蒸気の混合ガスなども正確に計測することが可能です。

ALLENGRA社の水素流量計は、ステンレス製の堅牢なセンサーボディを持ち、乾燥したガスから湿度の高いガスまで、幅広い条件下で使用できます。PEM燃料電池(固体高分子形燃料電池)のアノード循環制御や、電解槽(水電解装置)から生成される水素の純度測定、工業プロセスの監視など、水素エネルギー技術の核心部分でその性能を発揮します。

項目 仕様
測定媒体 純水素(H2)、水素・窒素・水蒸気(H2-N2-H2O)混合ガスなど
動作圧力 0.8 – 20 bar(a)
動作温度 -20 – 85 °C
体積流量精度 ±3 % of measured value
機能 流量測定、温度測定、圧力測定、湿度測定、ガス組成特定
出力インターフェース CAN-Bus, Modbus
接ガス部材質 ステンレス鋼、シリカなど

 

まとめ:水素流量計なら株式会社クローネにお問合せください

今回は、脱炭素社会のキーテクノロジーである水素エネルギーと、その利用に不可欠な流量計について解説しました。

水素の正確な流量計測は、安全性の確保や品質管理、さらにはエネルギー効率の最適化において非常に大切です。しかし、水素はその物理的特性から計測が難しい流体の一つでもあります。

株式会社クローネでは、このたび新たに取り扱いを開始したALLENGRA社の超音波式水素流量計をはじめ、お客様の用途や測定条件に最適な流量計をご提案しています。

「水素の流量を正確に測りたい」
「既存の設備に最適な流量計を選定してほしい」

このようなご要望や課題をお持ちでしたら、株式会社クローネまでお気軽にご相談ください。流体計測の専門知識を持つスタッフが、お客様の課題解決をサポートいたします。

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