計測機器や各種センサの原理・使い方を徹底解説

流速とは?流速と流量の違いを徹底解説

2025.03.10

流体の動きを表す指標として流速があります。今回は流速について詳細を解説し、流量との違いや流体の計測方法について詳しく解説していきます。

 

流速とは?流速の基本概念

流速とは、液体や気体が移動する速さを示す指標であり、「単位時間でどの程度の距離を進むか」を表す物理量です。一般的には「m/s(メートル毎秒)」という単位が使用されます。工場の配管や河川、空調設備など、さまざまな環境で流速の管理は重要視されています。流速が適切でないと、エネルギー消費の増加や設備の劣化を招くので、正確な測定と管理が求められるのです。

流速を適切に管理することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 効率的な流体輸送: 流速が最適であれば、エネルギー効率が向上し、ポンプや圧縮機の負荷を軽減できます。
  • 摩耗や腐食の抑制: 流速が適切でないと、配管内の摩耗や腐食が進み、メンテナンスコストが増加する可能性があります。
  • プロセス制御の向上: たとえば化学工場では、流速を正確に制御することで、反応効率の向上や製品品質の安定化につながります。
  • 安全性の向上: 高すぎる流速は配管の損傷や圧力損失を引き起こす可能性があるため、安全な運用のためにも適切な流速管理が必要です。

 

流速と流量の違いは?2つの関係性

流速と流量は密接に関連していますが、異なる概念です。簡単に違いを表現すると、以下のようになります。

流速(m/s): 流体が一定時間内に移動する「距離」を示します。

流量(m³/s): 配管の断面積を一定時間内に通過する流体の「体積」を示します。

流速は、「流量 / 配管の断面積」という計算式から求められます。

たとえば、流量が0.03m³/sで配管の断面積が0.1m²の場合、流速は0.03/0.1=0.3m/sとなります。

この式を見るとわかるように、配管の直径が広いと流速は低下し、逆に狭いと流速が増加します。水が出ているホースの先を手で押さえると、水が遠くまで飛ぶようになりますが、あれは出口の面積が小さくなることで流速が上がっているから起きる現象なのです。

 

流速の測定方法【代表的な計測技術とその特徴】

流速の測定には、さまざまな技術があります。

超音波式流量計

超音波の伝播時間や周波数変化を利用し、非接触で流速を測定します。

メリット:

  • 配管の外側に取り付けられるため、設置工事が不要で簡単
  • 移動設置が可能で、異なる場所での流速測定が容易

デメリット:

  • 流体内に気泡や固形物が多い場合、測定精度が低下することがある
  • 高粘度の流体には適用が難しい場合がある

電磁流速計

導電性を持つ流体に磁場をかけ、発生する電位差を測定して流速を算出します。

メリット:

  • 固形物やスラリーを含む流体でも測定可能
  • 配管内に障害物がないため、圧力損失がほとんどない
  • 長期間の安定した測定が可能

デメリット:

  • 電気を通さない流体(純水、油など)には適用できない
  • 設置コストが比較的高くなる

ピトー管

配管内の全圧と静圧の差を測定し、ベルヌーイの定理を用いて流速を計算します。

メリット:

  • 取り付けが比較的簡単で、低コスト
  • 圧力損失が少なく、エネルギー効率を損なわない
  • 高温・高圧の流体にも適用可能

デメリット:

  • 低速の流体では測定精度が低下する可能性がある
  • 正確な測定には、配管内の流れが安定している必要がある
  • 定期的なメンテナンスが必要で、汚れや詰まりに注意が必要

カルマン渦式流量計

流体が障害物を通過する際に発生するカルマン渦の周波数を測定して流速を算出します。

メリット:

  • 気体や液体の流速測定が可能となる
  • 直管部が短くても設置できるため、スペースの制約が少ない
  • 比較的低コストで導入可能

デメリット:

  • 振動や騒音の影響を受けやすく、精度が低下することがある
  • 低流速時の測定精度がやや劣る

 

流速の活用事例

流速の測定は、さまざまな分野で活用されています。

たとえば、工場の配管管理では以下のような場面で利用されています。

  • 冷却水の流速管理: 熱交換器やボイラーの効率を最大化し、過剰なエネルギー消費を防ぎます。
  • 原料供給の流速調整: 化学工場では、反応条件を安定させるために、正確な流速管理が求められます。
  • 潤滑油の流速測定: 機械の摩耗を抑え、安定した運転を維持するために、流速の適正管理が重要となります。

河川や海洋調査だと、以下のような形で利用されています。

  • 洪水対策: 河川の流速をリアルタイムで監視し、洪水リスクを予測します。
  • 水質管理: 汚染物質の拡散状況を把握し、水質改善に役立てています。

エネルギー分野でも、流速の管理が重要な役割を果たしています。

  • ボイラーの効率向上: ボイラー内の蒸気流速を最適化し、燃料消費を抑えます。
  • ヒートポンプの最適化: 冷媒の流速を制御し、冷暖房システムの効率を向上させます。

航空機やロケットの設計においても、流速測定は不可欠です。

  • 飛行機の空気力学評価: 機体周辺の空気の流速を計測し、燃費を向上させ、安全性を確保します。
  • 風洞実験: 航空機や車両の設計において、流体の動きをシミュレーションします。

 

まとめ

流速の正確な測定には、高精度で信頼性のある計測機器の選択が重要です。また、用途や環境に応じて適切な計測機器を選定することで、効率的な流体管理が可能となります。クローネの計測器は、さまざまな産業現場で利用されており、流速も高い精度で計測することが可能です。信頼性の高い計測機器をお探しなら、クローネの計測器をぜひご検討ください。

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