計測機器や各種センサの原理・使い方を徹底解説

流量計の種類と特徴【方式別のメリット・デメリットを解説】

2022.02.03

流量計

流量計とは、液体、気体、蒸気が流れる量を測定するものです。流量計には測定する原理によって様々な種類が存在します。今回は、方式別に流量計の特徴と、そのメリット・デメリットについて解説していきます。

 

方式別のメリット・デメリット

■容積式流量計(ギア式流量計)

容積式流量計は、内部に設けられた2つの歯車の回転数によって流量を計測します。ギア式流量計とも呼ばれます。

直管部が不要で精度が高く、高粘度でも計測できるなどのメリットがある一方で、異物に弱く、低粘度の流体の計測は不向きな面があります。歯車回転部の定期的なメンテナンスをすることで、長期的な使用が可能になります。

■熱式質量流量計(サーマルマスフローメーター)

熱式質量流量計は、気体が持つ熱拡散作用を用いて流量を計測します。

可動部がなく、気体の質量流量を直接計測でき感度が高いなどのメリットがある一方で、校正が難しく、気体の組成の影響を受けやすい面があります。

■電磁式流量計

電磁式流量計は、流体が持つ導電性を利用し、流量計内部のコイルに発生させる電圧から流量を計測します。計測原理としてファラデーの電磁誘導の法則が使われています。

流れを妨げるものがないため圧力損失が小さく、温度・粘度・圧力に依存せず、流れの順方向・逆方向を計測できるなどのメリットがある一方で、低速の流体、気体、導電率のない液体の計測には不向きな面があります。

■超音波式流量計

超音波式流量計は、配管の内側または外側から超音波を発信し、その超音波の伝搬差を計測することで流量を計測します。

可動部なくメンテナンスが容易、デジタルにもアナログにも対応できるなどのメリットがある一方で、初期のコストが割高で、高濃度汚染された液体や固体を含んだ液体(スラリー)のように超音波エネルギーが通過しにくい流体では流量計測が困難な面もあります。

■タービン式流量計

タービン流量計は、流路に設けられた羽根車が流体によって回転し、その回転数から流量を計測します。

高精度で測定範囲を広くとれるメリットがある一方で、高粘度の流体や、温度・圧力変動の大きい流体、内部に不純物が入った流体の計測の場合、条件によっては計測が困難な面があります。

■コリオリ式質量流量計

コリオリ式質量流量計は、コリオリの力という物理現象を利用して質量流量を計測します。

高い精度で質量流量を計測でき、密度や粘度の変化を受けにくい、応答速度が速いなどのメリットがある一方で、他の手段に比べて高価になる、圧力損失が大きいなどのデメリットがあります。

■カルマン渦式流量計

カルマン渦式流量計は、流量計内部の渦発生体によって発生した流体の渦を圧電素子などで測定することによって流量を計測しています。

可動部がなくシンプルな構造で、液体、気体、蒸気のいずれも検出できるメリットがある一方で、高粘度の液体や異物の入った液体には向いておらず、振動にも弱い面があります。

■差圧式流量計

差圧式流量計は、流体の2点間に生じる差圧から流量を計測します。差圧式流量計には、オリフィスと呼ばれる意図的に流路を狭くした部分があり、そこに流体を通すことで差圧を生じさせます。ベルヌーイの定理により、2点間の差圧の平方根をとることで流量を正確に計算することができます。

シンプルで安価、取り付け取り外しが簡単というメリットがある一方で、オリフィスによって圧力損失が発生してしまう、固体が混入された液体や小流量の計測に向かないなどのデメリットがあります。

 

流量計の用途

流量計の主な用途と、各用途でおすすめの方式を紹介します。

■油圧機器、製薬、食品、化粧品、化学薬品

油圧機器、製薬、食品、化粧品、化学薬品などの分野では、製造工程内の原料の投入量をコントロールするなどの目的で流量計が用いられています。これらの分野でよく用いられているのが、容積式流量計(ギア式流量計)です。

たとえば、KEM製ギア式流量計「ZHMシリーズ」は、非常に精密に作られたギアを通過するので高精度に粘性流体の計測が可能な流量計として、幅広い用途で用いられています。

>>KEM製ギア式流量計「ZHMシリーズ」

 

■工業用ガスや燃料ガスの使用量の測定、排ガスの測定

工業用ガスや燃料ガスの使用量や、排ガスの量を測定する目的でも流量計が用いられます。これらの用途でよく用いられているのが、熱式質量流量計(サーマルマスフローメーター)です。

Honeywell製熱式質量流量計「HAFシリーズ」は、最小で10 SLPM(毎分標準リッター)から最大300 SLPMという業界で最も広い範囲でエアーフローの感知が可能で、ガスの流量測定では最適なセンサの1つです。

>>Honeywell製熱式質量流量計「HAFシリーズ」

 

■飲料水やソース類の流量計測、可燃性や爆発性の流体、高温の流体

飲料水やソース類、可燃性や爆発性の流体、高温の流体などは、通常の流量計では測定が困難な流体です。その中でよく用いられるのが、流体に触れずに流量測定を可能にする電磁式流量計です。

KOBOLD製電磁式流量計「MIMシリーズ」は、MIMシリーズのは高精度、低圧損、広いレンジアビリティが特徴で、非接触で流量測定をするのに最適な流量計の1つです。

>>KOBOLD製電磁式流量計「MIMシリーズ」

 

■配管を切ることができない既設の工業設備・水処理施設

配管を切ることができない場面でも、流量計測が必要になるケースがあります。既設の工業設備や水処理施設で使う流量計として最適なのが、超音波式流量計です。

SoundWater製超音波流量計は、マウンティングストラップで配管に巻き付けて固定するだけなので、工具不要で取り外しもワンタッチなので、配管を切らずに流量計測する際にに最適です。

>>SoundWater製超音波流量計

 

■石油化学製品、有機溶剤、無機液体、冷媒、液化ガス、天然ガスなどで極低温から高温までの流体

石油化学製品、有機溶剤、無機液体、冷媒、液化ガス、天然ガスなどの流量計測では、タービン式流量計が用いられています。

TrigasDM製タービン流量計は、ステンレス製・コンパクト設計・高精度・高速応答の流量計なので、上記の領域で用いるのに最適な流量計の1つです。製造元のTrigasFI社はISO/IEC17025 認定基準のもと、実際の粘度と実際の液体で校正できる数少ない校正機関の1つでもあります。

>>TrigasDM製タービン流量計

 

■LNGプラント、自動車業界、化学業界、薬品業界

LNGプラント、自動車業界、化学業界、薬品業界などでよく使われているのが、コリオリ式流量計です。

KEM製コリオリ式流量計「TCMシリーズ」は、最大105MPaの耐圧性能を有し、燃費計測・静電塗装・接着剤や樹脂、水素ディスペンサーなどの計測・制御アプリケーションでよく用いられている流量計です。

>>KEM製コリオリ式流量計「TCMシリーズ」

 

■天然ガスや水蒸気(化学業界、薬品業界)

天然ガスや水蒸気でよく使われているのが、カルマン渦式流量計です。

Huba Control製カルマン渦式流量計「210シリーズ」は、計測時に機械的可動部が少なく、流体の中に含まれる不純物の影響を受けにくいので、高精度、圧力損失が少ないなどの特長があり、天然ガスや水蒸気の流量測定に最適な流量計の1つになっています。

>>Huba Control製カルマン渦式流量計「210シリーズ」

 

■石油・ガス、水処理、製薬、食品・飲料、鉱業、化学工業

上記以外では、差圧式流量計が、石油・ガス、水処理、製薬、食品・飲料、鉱業、化学工業などの分野で幅広く使われています。

 

まとめ

流量計
ここまで解説してきたように、流量計には様々な種類があるので、コスト、精度、設置条件、用途などによって適切な流量計を選定する必要があります。もし、流量計の選定について、お困りの点がありましたら、計測機販売の分野で40年以上の歴史を持つ株式会社クローネまでお気軽にご相談ください。

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