計測機器や各種センサの原理・使い方を徹底解説

熱電対データロガーとは?【用途・おすすめ製品を紹介】

2025.05.09

製品の品質維持や研究開発、安全管理など、さまざまな場面で重要となるのが温度管理です。その中でも、人が直接確認できない高温環境や、長期間にわたる温度変化を正確に記録したい場合に役立つのが「熱電対データロガー」です。今回は、熱電対とデータロガーの基本的な知識から、熱電対データロガーの主な用途、そしておすすめの製品について解説していきます。

 

熱電対とは?

熱電対は、温度を知るために広く使われているセンサーです。 二種類の異なる金属線を先端で繋ぎ合わせて、その繋ぎ目(接点)と線のもう一方の端との間に温度差が生じた際に、ごく微弱な電圧が発生するという現象を利用しています。熱電対は小さな発電機のように、温度が高ければ高いほど、また温度が低ければ低いほど、それぞれに応じた大きさの電圧が生じる仕組みです。この微弱な電気信号(電圧)を正確に測定し、温度の数値に変換することで、測定対象物の温度を計測できるのです。

熱電対の利点は、測定できる温度の範囲が非常に広いことです。たとえば、鉄を溶かすような工業用の炉の中や、物質が凍てつくような極低温の環境など、普通の温度計では対応できないような厳しい場所での温度測定も可能になります。 幅広い温度に対応できる理由は、熱電対に使われる金属線の組み合わせ(タイプ)に多くの種類があるためです。

 

データロガーとは?

データロガーとは、設定した時間間隔で自動的に測定データを記録し続ける装置のことです。データロガーの主な役割は、センサー(温度センサーや湿度センサーなど)が読み取った情報を、内蔵されているメモリに保存することです。データロガーの多くは電池で動作するため、電源がない場所でも長期間設置してデータを収集できます。記録されたデータは、後でパソコンなどに接続して取り出し、専用のソフトウェアを使ってグラフ表示や数値分析を行うことが可能です。これにより、環境の変化を時系列で把握したり、特定の条件下でのデータの変動を確認したりするのに役立ちます。

 

熱電対データロガーの主な用途は?

熱電対データロガーは、熱電対の「広範囲な温度測定能力」とデータロガーの「自動記録機能」を組み合わせたもので、特に専門的な温度管理が求められる分野で広く利用されています。 人が立ち入れないような高温・低温環境での測定や、長期間にわたる連続的な温度監視を正確かつ効率的に行えます。 具体的な用途としては、以下のような場面が挙げられます。

  • 医薬品製造・医療分野: 手術器具などの滅菌工程(乾熱滅菌、脱パイロジェン)が正しく行われたかを確認するための温度記録。
  • 食品産業: 食品の加熱調理や加工、缶詰製造時の中心温度が、殺菌に必要な温度に達しているかの検証。
  • 工業分野: オーブンや炉の温度監視、金属の焼結プロセスや樹脂成形時の温度データ収集、ダイカストマシンの金型温度分布測定など、製品の品質に関わる温度管理。
  • 研究開発: 電子部品が高温や低温にさらされる寿命試験での温度変化の記録、エアコン開発における室温分布の測定、モーター表面温度の監視による異常検知など。
  • 環境調査: 河川の水温測定による生態系調査や、井戸の温度監視など。

このように、熱電対データロガーは、品質保証、安全管理、研究開発といった多様な目的で、正確な温度記録を提供するために不可欠なツールとなっています。

 

熱電対データロガーのおすすめ「MADGETECH製 HiTemp140-TCシリーズ」

MADGETECH製データロガー

熱電対データロガーにはさまざまな種類がありますが、ここでは特に高温環境での使用に適した「MADGETECH製 HiTemp140-TC」をご紹介します。 HiTemp140-TCは、本体の高い耐熱性能と、多様な熱電対プローブに対応できる汎用性を兼ね備えていた点が特徴の熱電対データロガーです。K, J, T, E, R, S, B, Nタイプといった市場で一般的に使用されるほとんどの熱電対センサーを接続できるミニチュアコネクタ(SMPコネクタ)を備えています。これにより、使用する熱電対プローブに応じて、-270℃の極低温から+1300℃といった高温までの幅広い温度範囲を測定対象とすることが可能です。

データは最大32,256件まで記録でき、測定間隔は1秒に4回から24時間に1回まで自由に設定可能です。データの開始、停止、ダウンロードは、別売りの専用ソフトウェア「MadgeTech 4」とドッキングステーション(IFC400またはIFC406)を使って簡単に行えます。プログラム可能な開始・終了時間やトリガー起動といった機能も備えています。

これらの特徴から、HiTemp140-TCは、食品加工、滅菌管理、オーブン監視など、厳しい環境下で信頼性の高い温度データ記録が求められる多くの用途に適した選択肢と言えるでしょう。

 

熱電対データロガーのことならクローネまでお問合わせください

熱電対データロガーは、人が立ち入りにくい環境での温度測定も含めて、さまざまな活躍する温度測定機器です。その中でもおすすめの製品が「MADGETECH製 HiTemp140-TC」です。

「MADGETECH製 HiTemp140-TC」を取り扱う株式会社クローネでは、豊富な経験と専門知識を活かした製品選定やアフターサポートを提供しています。製品の詳細情報や見積もりについては、株式会社クローネまでお問い合わせください。専門スタッフが丁寧にご対応いたします。

>>株式会社クローネへのお問い合わせはこちら

関連記事