計測機器や各種センサの原理・使い方を徹底解説

製薬滅菌工程・医療現場でおすすめの4種の温度データロガー

2022.09.29

温度データロガーは、さまざまな業界で利用されていますが、代表的なのが製薬・医療業界での利用です。近年だと低温管理が必要となるワクチンの保管で活躍していますが、それ以外には滅菌処理の工程でも温度データロガーは広く用いられています。今回は、高圧蒸気滅菌における温度データロガーの重要性を解説し、株式会社クローネが取り扱う代表的な製品を紹介していきます。

 

高圧蒸気滅菌におけるデータロガーの重要性

いくつかある滅菌の中で、高圧蒸気滅菌はシンプルかつ効果の高い滅菌方法として知られています。蒸気滅菌は、オートクレーブ(内部を高圧にできる耐圧性の高い容器)内で行われ、圧力と温度を制御しながら、決められた時間、直接蒸気にさらすこと滅菌処理です。

(米国疾病管理予防センター)によると、蒸気滅菌によって微生物を死滅させるには、温度を121℃から132℃ の間で制御することが必要とされています。包装された医療器具の滅菌の場合、オートクレーブの中でこの温度を最短で4分から最長だと30分ほど維持する必要があります。

この蒸気滅菌における各サイクルを正しく監視、記録、検証するのに用いられるのがデータロガーです。データロガーを使うと蒸気滅菌中の圧力、温度、湿度などを正しく測定できるので、滅菌サイクルが正しく完了できたかを確認できます。蒸気滅菌に使用されるデータロガーには、高温で高圧の環境下に耐えられる必要があり、さらにその過酷な環境下で正確かつ安全に測定できる技術が要求されます。

 

医療用途で実績あり!マジテック社製の高温度データロガー

株式会社クローネでは、提携先のマジテック社が持つ高温度に対応できる温度データロガーを多数取り揃えています。マジテック社は、1996年の会社設立以来、一貫して信頼性の高い温度データロガーの研究・開発・製造を続けていて、その温度データロガーはNASAの航空宇宙開発の分野でも採用された実績があります。

関連文献:https://ntrs.nasa.gov/citations/20160009002

 

|温度データロガー

最も標準的かつ汎用的に使われる温度データロガーで、代表的な製品は、HiTemp140シリーズです。 HiTemp140シリーズは、過酷な環境で使用するために作られた水没可能な高温データロガーで、6種類のプローブサイズ中から用途や設置条件等にあわせて選択できるのが特徴です。

HiTemp140シリーズは、-40℃~140℃の温度に耐えられるように設計されています。オプションの耐熱ケースを装着することで250℃までの環境下で使用できるようにもなっています。
無償の解析ソフト「MadgeTech4」を使えば、簡単な操作で開始、停止、ダウンロードなどを実行できるほか、グラフや表の表示、平均値や滅菌指標となるF0値等の自動計算、エクセルデータへの変換なども可能です。

高圧蒸気滅菌器内の滅菌バリデーション、レトルトパウチ内の滅菌温度管理などの用途で使われています。

製品をさらに詳しく⇒
ストレートプローブ:HiTemp140シリーズ
フレキシブルプローブ:HiTemp140-PTシリーズ
テフロンプローブ:HiTemp140-FPシリーズ

 

|温度データロガー ダブルセンサ

ダブルセンサタイプとは、プローブが2つあり、同時に2ケ所の温度測定ができる温度データロガーのことです。ダブルセンサの代表的な製品がHiTemp140X2シリーズです。プローブの長さは約150mm~約1800mmで6種類あり、様々な用途に適したプローブを選択できます。

HiTemp140X2シリーズは、HiTemp140シリーズと同様に-40℃~140℃の温度範囲で使用でき、オプションの耐熱ケースを装着することで250℃までの環境下で使用できます。

ソフトについてもHiTemp140シリーズと同じく、無償の解析ソフト「MadgeTech4」を利用することで、グラフや表の表示、平均値や滅菌指標となるF0値等の自動計算、エクセルデータへの変換なども可能です。

HiTemp140X2シリーズは、2つのプローブの形状や材質の組み合わせによって、4つの種類があります。

■ HiTemp140X2-FPシリーズ:4種類の長さのステンレス製チップを備えた軽量なテフロンプローブが2つあるタイプです。
■HiTemp140X2-FP-PTシリーズ:テフロンプローブとフレキシブルプローブを組み合わせたタイプです。
■ HiTemp140X2-TD-FPシリーズ:周囲温度を測定するためのストレートプローブと、テフロンプローブを組み合わせたタイプです。
■ HiTemp140X2-TD-PTシリーズ:周囲温度を測定するためのストレートプローブと、フレキシブルプローブを組み合わせたタイプです。

製品をさらに詳しく⇒
テフロンプローブ / テフロンプローブ:HiTemp140x2-FPシリーズ
テフロンプローブ / フレキシブルプローブ:HiTemp140x2-FP-PTシリーズ
ストレートプローブ / テフロンプローブ:HiTemp140x2-TD-FPシリーズ
ストレートプローブ / フレキシブルプローブ:HiTemp140x2-TD-PTシリーズ

 

|超高温対応データロガーシステム

超高温対応のデータロガーとは、センサー部分が通常のタイプよりも高温に耐えられる設計になったデータロガーです。超高温対応の代表的な製品がHiTemp140-M12です。HiTemp140-M12は、最大450℃までの温度を測定できます。

他のシリーズと同様に、無償の解析ソフト「MadgeTech4」と互換性があるので、操作やデータの編集・分析を手軽にできます。必要に応じてプローブ部分を交換できるため、さまざまな場面におけるニーズに対応可能です。

なお、データロガー本体の使用温度は140℃までですが、専用の耐熱ケースを装着することで400℃までの環境下で使用できます。

乾熱滅菌機のプロファイリングやトンネル乾燥機の温度モニタリングなどの用途で使われています。

超高温データロガーシステム:HiTemp 140-M12シリーズ

 

防爆環境にも適応できる防爆型温度データロガー

石油ターミナルの燃料ガス貯蔵タンク

防爆型データロガーは、引火性の高い防爆エリアで使うためのデータロガーです。引火性の高いエリア(防爆エリア)は、高さ順にゾーン0、ゾーン1、ゾーン2と分類されます。その中でも特に引火性の物質に直接触れるゾーン0は特別危険箇所とされています。

防爆型温湿度データロガーの代表がRHTemp1000Exシリーズです。RHTemp1000Exシリーズは、本質防爆安全構造をとったデータロガーで、国内の消防法に対応しており、ゾーン0の特別危険箇所でも使用できるようになっています。測定温度範囲は-40~80℃です。

EOG(エチレンオキサイドガス)滅菌器内の温湿度管理や粉体・防爆倉庫内の温湿度管理に用いられています。

製品をさらに詳しく⇒
防爆型 温度・湿度データロガー :RHTemp1000EXシリーズ

工場で作業服を着た人が除菌されている様子

滅菌処理は高温・高湿になるので、温度データロガーには高温領域まで計測できる能力はもちろん、高い信頼性と耐久性が要求されます。株式会社クローネでは信頼性の高いマジテック社のデータロガーを多数販売しているので、もしデータロガーにご興味をお持ちなら、ぜひクローネまでご一報ください。

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