計測機器や各種センサの原理・使い方を徹底解説

温度データロガー【選定のポイントと用途を解説】

2022.03.03

データロガー

様々な環境測定値を収集するための電子デバイスとしてデータロガーがあります。
データロガーは、大掛かりな設備なしで手軽にデータを収集できるので、様々な業界で活躍しています。

今回は、データロガーの中でも、特に温度データロガーについて解説していきます。

温度データロガーとは


温度データロガーとは、時間経過に伴う温度変化を記録するポータブルデバイスのことです。温度データロガーは、一般的に医薬品、化学薬品、食品などで、サプライチェーン全体の温度変化を適切に管理できているかを確認するために用いられます。

温度データロガーには、手動での温度データ収集に比べて2つのメリットがあります。1つは、サプライチェーン全体を監視する時間とお金を節約できることです。もう1つは、安定して高品質の温度データを提供できることです。

 

温度データロガー選定のポイント


温度データロガーを選定する際には、いくつか検討すべきポイントがあります。
ここでは6つのポイントを紹介していきます。

■入力信号

温度データロガーの場合は、液体や気体の温度のほかに、湿度・圧力など様々な物理的パラメータを測定できるものもあります。温度の範囲にも上下限があり、高温を得意とするデータロガーや、低温を得意とするデータロガーなどもあります。

■入力の数

入力の数には、1つだけのシングルチャネルと、2つ以上の入力信号に対応できるマルチチャネルがあります。

■本体の大きさ

温度データを計測する場面は様々で、スペース上の制約がある場面も少なくありません。
そのため、サイズも重要な要素になってきます。

■メモリの大きさ

データロガーで収集したデータは、メモリに保存されます。サンプリングのレートが大きいと、同じ計測時間でより多くのメモリが必要になります。
したがって、データロガーを選定するときは、サンプリングレートと期間にあわせてメモリを選定する必要があります。

■記録媒体

かつては、記録媒体に紙が使われていたこともありましたが、今日ではペーパーレスでデータをメモリに保存します。
メモリは本体が持つ内部メモリを利用する場合と、USBインターフェースに保存する場合があります。
一般的に、USBインターフェースを用いるとより大容量のデータを保存できるようになります。

■データ通信の方法

データ通信の方法はいくつかありますが、ここでは主な方法を4つ紹介します。

・RS485

RS485は、信号送信機や外部環境の影響を受けないため、無線温度データロガーよりも安定した通信が可能になる一方で、インターフェースには特殊なタイプのケーブルが必要になるのがデメリットとなります。
RS485は、高温多湿の条件下などで使用されています。

・WIFI

WIFIを信号伝送媒体として使用し、収集した温度湿度データをリアルタイムでネットワークにアップロードしてデータを記録・保存する方法です。
通信用の配線コストを大幅に削減できるメリットがあります。
特に多数のデータロガーを集中的に管理する必要があるときに、そのメリットはより大きくなります。

・USBインターフェース

USBは、専用の外部電源がなくても長時間記録を保持できることがメリットです。
例えば、冷凍食品を長距離輸送する場合、荷受け時に指定の温度・湿度条件に保たれていることを証明する必要があります。
出荷時にUSB温度データロガーを貨物室に置くことで、荷受けの際に温度・湿度が確実に管理できていることをその場で確認することができます。

・Bluetooth

Bluetoothを介して、温度・湿度データを読み取ることもできます。
Bluetoothはモバイルアプリとの通信を容易にできるのがメリットです。
また、Bluetoothプリンターを使用することで、温度と湿度のデータをいつでもどこでも印刷できるようにもなります。
 

温度データロガーの用途例


ここからは、温度データロガーの用途例を紹介していきます。

■医療業界

例えば、ワクチンの保管で温度データロガーが活躍します。ワクチンは一般的に低温で管理しなければ効力を失ってしまうので、低温領域で使えるデータロガーを用います。
一方で、高圧蒸気滅菌・乾熱滅菌・ガス滅菌など滅菌が必要な場面においてもデータロガーが活躍します。
一般的に殺菌や滅菌をするのは高温(100℃以上)の環境下なので、高温領域で使える温度データロガーを使用します。
>>MADGETECH製 低温用 温度データロガー
>>MADGETECH製 超高温対応 データロガーシステム

■化学業界

化学業界では、通常の温度データロガーのほかに、ガス環境下や危険物倉庫などの引火性の高い場所に使う防爆データロガーを使用することがあります。引火性の高いエリア(防爆エリア)は、高い順にゾーン0、ゾーン1、ゾーン2などと分類されますが、ガソリンの貯蔵タンクのような引火性の物質に直接触れるゾーン0は特別危険箇所とされています。
防爆対応しているデータロガーには、ゾーン0で使えるものも多くあります。
>>MADGETECH製 防爆型 温度データロガー

■食品業界

食品業界ではHACCP(ハサップ)による衛生管理制度の導入が進んでいます。HACCPには、7原則12手順が定められていて、原料を受け入れてから製品にするまでの各工程で、温度・湿度記録が必要になります。例えば、加熱工程中の殺菌温度を管理するために、データロガーが活躍します。
>>温度データロガー

■輸送業界

輸送業界においては、温度管理を必要とする製品を輸送する際に、データロガーが用いられます。
特に航空輸送や船舶による輸送は、外部環境の変化が激しくなるので、より温度・湿度管理の重要性が増します。
また、上記に挙げたワクチンや、食品を輸送する際にもデータロガーが活躍します。

 

まとめ

データロガーは、様々な環境条件に合わせて製品を選ぶ必要があります。もし、データロガーを選定するときにお困りなら、是非データロガーの専門家集団である株式会社クローネまでお問い合わせください。ご要望に合わせて、最適な製品をご提案いたします。

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