計測機器や各種センサの原理・使い方を徹底解説

圧力センサの種類と用途

TE Connectivity製 圧力センサ

圧力センサは、圧力信号を感知し、その圧力信号を電気信号に変換して出力する装置です。圧力センサは通常、感圧素子と信号処理ユニットで構成されています。

自動車業界、医療業界、建設業界をはじめ、多くの業界で活用されている圧力センサには、様々な種類があります。

圧力センサの種類・測定原理

圧力センサ

■抵抗膜方式

抵抗膜方式は、測定媒体の圧力変化をダイアフラムに取り付けた歪みゲージの電気抵抗の変化によって測定する方式です。抵抗変化を測る素子として、金属抵抗素子、セラミック抵抗素子、ピエゾ抵抗素子などが用いられます。金属抵抗素子には、セラミック抵抗素子に比べて高い圧力範囲を測定でき、耐久性にも優れている特徴があります。ピエゾ抵抗素子には、金属抵抗素子よりも小さな圧力変化を測定できる特徴があるので、低い圧力範囲で用いられます。

■静電容量方式

静電容量方式は、圧力変化によってたわんだ板の静電容量の変化によって圧力を測定する方式です。抵抗膜方式に比べると高感度で100Pa以下の微小な圧力変化を測定できる一方で、70MPaくらいまでの幅広い圧力を測定できます。しかし、材料や接合・シールなどの制約があり、用途が限定されることがあります。

■圧電素子方式

圧電素子方式は、水晶など圧力をかけると表面に電荷が発生する圧電体を利用した方式です。電荷の大きさは加えられた力に比例し、極性はその方向を表します。電荷は圧力の変化に応じて素早く蓄積・消滅するため、高速で変化する動圧でも正確に測定できます。圧電素子方式には、低消費電力で耐久性に優れているほか、高温にも耐えられる素材であるという利点があります。一方で、振動や加速度変化に対して敏感なので、用途が制限されてしまうという欠点があります。

■光学方式

光学方式は、干渉計を利用して光ファイバーの圧力変化を測定する方式です。電磁波の干渉を受けないので、騒音の多い環境や放射線撮影装置などの発生源の近くで使用するのに適しています。光学方式の圧力センサは、小型で柔軟性があるため、他の技術では設置が困難な場所にも設置できるという利点があります。また、電源確保が困難な場面でも活躍できます。一方で、サイズが小さいため、他のセンサに比べて堅牢性・耐久性に欠けるという欠点があります。また、高感度であるがゆえに、音響振動や機械振動の影響を受けやすくなります。

■MEMS

MEMSとは、Micro Electro-Mechanical Systemの略で、圧電素子や静電容量方式の圧力検出機構をシリコンチップ上にミクロン単位で設置した圧力センサです。一般的には2~3mm程度の小さな表面に実装されます。MEMSセンサは、小型で消費電力をおさえることができ、小型バッテリーによって数年間駆動させることもできます。サイズが非常に小さくでき、わずかな圧力の変化にも素早く反応することができるほか、埋め込み型医療機器などの分野にも応用できる圧力センサです。

圧力センサの用途

圧力センサ
圧力センサは、さまざまな業界における圧力測定に幅広く使用されています。また、圧力センサによって記録された圧力は、他の重要なパラメータに変換して使用できるので、圧力以外の測定を目的とした用途でも利用されています。代表的な業界事例を6つ紹介します。

■自動車業界

自動車業界では、以下の場面で圧力センサが利用されています。

  • 自動車のブレーキシステム:油圧ブレーキの機能に影響を与える可能性のある故障状態を検出します。
  • 自動車のエンジン:圧力センサを使って、走行状況に応じた燃料と空気の混合状態の最適化をしたり、運転中のエンジンの油圧レベルを監視したりできます。
  • 車体の圧力検知:圧力センサが衝突を検知することで、エアバッグなどの安全装置を作動させることができます。

自動車業界で用いる圧力センサのおすすめは、Huba Contorol社の「520シリース」です。「520シリーズ」は、圧力測定セルがOリングなしで完全に溶接されているタイプで、気体・液体・アンモニアを含む冷媒など幅広い流体の圧力監視・制御用センサーとして使用できます。

>>Huba Contorol製「520シリーズ」

 

■医療業界

医療業界では、精度、信頼性、安定性、サイズなど、他の業界に比べてより高い要件が圧力センサに課せられます。例えば、以下のような用途があります。

  • 低侵襲手術用のカテーテル:熱希釈カテーテル、尿道カテーテル、食道カテーテル、中心静脈カテーテルなどに利用されます。
  • 人工透析:透析液や静脈の圧力を測定するのに用いられます。
  • 人工呼吸器:呼吸器の酸素圧をモニターし、患者に供給する空気と酸素の割合を適切にコントロールします。
  • 点滴搬送システム:適切な量の点滴を適切な時間帯に投与できるように制御しています。

医療業界で用いる圧力センサのおすすめは、クローネの「KS2900」です。「KS2900」は半導体圧力センサを内蔵し、印加された圧力値に比例したアナログ出力と圧力表示ができるセンサです。病室・隔離病棟の室間差圧を測定する目的でも使用されています。

>>クローネ製「KS2900」

 

■スマートフォン・ウェアラブルデバイス業界

スマートフォンやウェラブルデバイスにも、様々な用途で圧力センサが使われています。

  • 標高測定:気圧の測定によって、高度を測定することができます。
  • ナビゲーションシステム:GPSだけだと高さ方向の測定が難しく、例えば高架のある場所だと高架の上か下のどちらにいるのか判断できませんが、圧力センサによって正しく位置をナビゲーションできるようになります。
  • 屋内測位:屋内の位置を正しく認識できないGPSを補正するために、加速度センサやジャイロスコープなどの技術と組み合わせて屋内の測位を正しく行えるようにします。
  • 転倒検知機能:福祉施設などで患者や高齢者の転倒を検知し、職員や家族に知らせる目的でも圧力センサが使われています。

スマートフォン・ウェアラブルデバイス業界で用いる圧力センサのおすすめは、Honeywell社の「ABP2シリーズ」です。「ABP2シリーズ」は、本体が小型化されていることが特徴で、プリント基板上のスペースを節約し、小型デバイスや低消費電力デバイスの設計を容易にできるセンサです。

>>Honeywell製「ABP2シリーズ」

 

■建設業界

建設業界でも、圧力センサは用いられています。

  • 油圧ジャッキの圧力測定:建築現場で使われる油圧ジャッキの油圧を監視・管理する目的で圧力センサが使われます。また、トンネル掘削用のシールドマシンの圧力制御にも使われています。

建設業界で用いる圧力センサのおすすめは、Honeywell社の「MIPシリーズ」です。「MIPシリーズ」は、コンパクトなステンレス構造で密封されたメディア分離型圧カセンサで、水、潤滑油、冷媒、圧縮空気、ディーゼルオイル、エンジンオイル、ブレキオイル、冷却水、排気ガス、化学物質、食品、飲料、02/N2/C02/N20ガスなどの、幅広い媒体の圧力測定に対応可能です。

>>Honeywell製「MIPシリーズ」

 

■水処理業界

上下水道の処理におけるシステム保護と品質保証にも圧力センサは重要な役割を果たします。

  • 液面測定:容器やタンクなどの底に設置した圧力センサで変換される電気信号を用いて静止流体の液面高さを測定できます。

水処理業界で用いる圧力センサのおすすめは、クローネの「KDM30シリーズ」です。「KDM30シリーズ」は、フレキシブルディスプレイ機構を採用していて、広範囲の条件で表示部を見やすい角度に調整でき、測定者や施工者の手間や負担を軽減することが可能です。工場等の配管やタンク内の気体および液体の圧力を測定する用途でよく用いられています。

>>クローネ製「KDM30シリーズ」

 

■化学・工業全般

上記以外にも化学・工業で全般的に、圧力センサが用いられています。

  • 工場で用いられる流体全般:化学プラント等で使われる液体や気体全般の圧力を測定するのに圧力センサが用いられます。化学プラントにおける圧力センサには、測定精度の高さだけでなく、応答速度の速さや温度範囲の広さ、耐腐食性の高さなども要求されることがあります。
  • 空調設備のフィルターつまり検知:液体の流入圧力と流出圧力の差を計測することで、流路に設けたフィルターが詰まっているかどうかがわかります。

化学・工業全般でおすすめの圧力センサは、SUCO(ESI Technology)社の「HP1000シリーズ」です。「HP1000シリーズ」は、シリコンオンサファイア(SoS)技術を採用し、最大5,000barの高圧レンジまで圧力測定を可能にしています。また、圧力ポートは耐食性に優れたチタン合金製なので、石油、ガス、航空、油圧機器等に使用可能です。

>>SUCO(ESI Technology)製「HP1000シリーズ」

 

 

まとめ

圧力センサ
圧力センサには、様々な測定原理があり、それぞれメリット・デメリットがあります。用途に合わせて、適切な圧力センサを選定しましょう。

もし、圧力センサの選定にお悩みなら、創業40年以上の歴史を誇る株式会社クローネまで、お気軽にご相談ください。

>>創業から40年以上の歴史を誇るクローネの圧力センサはこちら

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