計測機器や各種センサの原理・使い方を徹底解説

流量計の選び方は”設置する現場”で決まる【工場・上下水道・ビル・商業施設・マンション別の選定ポイント】

2026.06.29

流量計選びの決め手は方式の優劣ではなく「どんな現場に設置するか」にあります。流す相手・配管の口径・後付けできるか・何のために測るかなどです。今回は、流量計が設置される代表的な5つの現場(工場・上下水道施設・ビル・商業施設・マンション)ごとに選定ポイントを整理していきます。

 

流量計は「設置する現場」で選ぶ理由

流量計選びの出発点は、「設置する現場」です。たとえば同じ「水を測る」でも、浄水場の大口径配管と、ビルの細い給湯配管とでは、向く方式も設置方法もまったく違います。

現場が決めるのは、主に次の4点です。

  • 流体の性状(水・排水・薬液・蒸気・気体/導電性・粘度・異物の有無)
  • 配管口径と流量レンジ(測りたい流量の大きさ)
  • 設置条件(既設配管に後付けか・断水できるか・直管長を確保できるか)
  • 用途(取引計量・プロセス制御・省エネの見える化)

なお、直管長とは、流量計の前後に必要なまっすぐな配管のこと。曲がりの直後など流れが乱れた場所では精度が落ちるため、設置位置も重要になります。

 

現場が違っても外せない選定の共通軸

現場別の話に入る前に、どの現場でも必ず確認したい3つの共通軸を押さえておきましょう。

|①流体の性状(何を流すか)

まず確認すべきは「何を流すか」です。流体の性質によって、得意な方式は次のように変わります。相手に合わない方式を選ぶと、測れない・詰まる・計器を傷めるといった失敗につながります。

流体・条件 向きやすい方式
導電性のある水・排水 電磁式
高粘度の液体・油 容積式
蒸気・気体 渦式・差圧式
異物の多い汚水 超音波式(ドップラー式)
既設配管で使用量を見える化 超音波式(クランプオン)

|②配管口径と流量レンジ

次に、配管の口径と測りたい流量の幅(最小〜最大)を確認します。大口径ほど、配管に挿入するインライン式は設置や断水のコストが大きくなるのがポイントです。そのため口径が大きいほど、配管の外から測れる超音波式(クランプオン)が相対的に有利になりやすい傾向があります。計器の測定範囲が、実際の流量レンジに合っているかも必ず確認しましょう。

 

|③設置条件と用途

最後に、設置のしやすさと目的です。既設配管に後付けしたい・稼働を止められないなら、クランプオン式の超音波流量計が有力候補になります。直管長を確保できるか、設置スペースや防爆・屋外環境かも確認点です。用途によって必要な精度も変わり、高精度が優先される場合もありますし、プロセス制御なら応答性、省エネの見える化なら傾向の把握が重視されます。

 

【現場別】工場・上下水道・ビル・商業施設・マンションの選び方

代表的な5つの現場について、「現場の特性」と「向く方式・選定ポイント」をセットで見ていきましょう。

|工場

流体・用途ごとに方式を使い分けましょう。工場では、水・薬液・蒸気・圧縮エア・油など流体が多様で、プロセス制御とエネルギー管理の両面で流量計が使われます。薬液や燃料の高精度計量にはコリオリ式、導電性の水には電磁式、蒸気やエアには渦式、といった具合に用途で選び分けます。近年は省エネのため、既設ラインの使用量をクランプオン超音波で後付け計測し、ムダを見える化する動きも広がっています。

|上下水道施設(浄水場・下水処理場)

上下水道施設では、電磁式が定番、後付けは超音波式となります。大口径で導電性のある水・排水を24時間流し続ける上下水道では、電磁流量計が定番になりがちです。圧力損失が小さく、可動部がないため摩耗にも強いのが理由です。一方、稼働を止めにくい大口径ラインに後から計測を足したい場合は、やはりクランプオン超音波が活躍します。汚泥やスラリーを含む箇所では、ドップラー式の採用や設置位置に注意します。

|ビル

後付けしやすい超音波式が便利です。ビルでは、受水槽・給水、空調の冷温水、給湯などの流量管理が中心です。中小口径で、改修工事に伴う後付けニーズが多いため、断水せずに設置できるクランプオン超音波が重宝します。空調や給湯の流量データは、BEMS(ビルエネルギー管理)や省エネの取り組みにも直結します。

|商業施設

商業施設では、テナントごとの水や空調の使用量を按分計量し、見える化したいというニーズが強くあります。配管を傷めない非接触の超音波式なら、テナント別の計量や遠隔監視と相性が良く、レイアウト変更や増設にも柔軟に対応できます。

|マンション

マンションでは、共用部・受水槽・循環給湯(セントラル給湯)といった共用設備の管理が対象になります。共用配管の流量や循環量の把握には、後付けしやすい超音波式が向きます。遠隔・自動検針(IoT)と組み合わせれば、検針の手間を減らしつつ、漏水の傾向を早期につかむことにもつながります。

 

トレンドは超音波式【配管を切らずに後付けできる強み】

ここまで見てきたとおり、どの現場でも名前が挙がったのが超音波式、とりわけ配管の外から取り付けるクランプオン式です。いま流量計のトレンドが超音波式に向かっているのには、明確な理由があります。

  • 配管を切らずに設置できる──稼働中の設備にも後付けでき、断水や配管工事のコストを抑えられる
  • 非接触で圧力損失ゼロ──流体に触れず、可動部もないため詰まりや摩耗に強い
  • 大口径ほどコストメリット──口径が大きいほど、インライン式より割安になりやすい
  • 移設・増設がしやすい──取り外して別ラインへ。IoT・遠隔監視とも相性が良く、見える化に直結

もちろん万能ではありません。前後の直管長を確保できること、配管の材質や状態が測定に適していることが前提になります。

超音波流量計の測定原理をもっと詳しく知りたい方は、当コラムの「超音波流量計とは?」の記事もあわせてご覧ください。

 

まとめ:「現場を起点に向く方式」で選べば迷わない

流量計選びは、「方式」より先に「どの現場で・何を・どう測るか」が重要です。現場が決まれば、①流体の性状 → ②口径と流量レンジ → ③設置条件 → ④用途の順に詰めるだけで、迷わず最適な方式にたどり着けます。

「既設配管のまま、止めずに流量を測りたい」「省エネのために使用量を見える化したい」

そんなニーズに応えるのが、後付けできる超音波流量計です。

株式会社クローネでは、約19〜914mm(最大36インチ)の幅広い配管に外側から取り付けられるSoundWater社製「Orcas」をはじめ、導電性の水・排水に強い電磁流量計、小口径・衛生用途向けのSONOTEC社製まで、現場に合わせた流量計・流量センサを取りそろえています。

現場の条件をお聞きしたうえで、最適な方式とモデルをご提案いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

>>株式会社クローネへのお問い合わせはこちら

関連記事