計測機器や各種センサの原理・使い方を徹底解説

コリオリ式流量計とは?動作原理とおすすめ商品を解説

2023.10.02

流量計のタイプの一つとして、コリオリ式流量計があります。コリオリ式流量計は、多用途に使えることからさまざまな産業分野で活躍しています。今回は、コリオリ式流量計の動作原理やメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

 

コリオリ式流量計とは?原理は?

コリオリ流量計とは、コリオリの力を利用して流体の質量流量を計測するための流量計です。

コリオリの力とは、フランスの物理学者ガスパルド・コリオリによって発見された力で、回転する物体上で物体が直線的に動くとき、その物体が回転方向に逆らう形で偏向する力です。コリオリの力は、地球上の大規模な気象現象を説明するのにも使用されています。たとえば、赤道付近で発生した台風は、北半球を北上するときに少しずつ右(東)に偏向していく傾向があり、南半球を南下する際には左(東)に偏向していきます。これは地球の自転方向(東から西への回転)に逆らう形でコリオリの力が働いているためです。

コリオリ式流量計には、電磁ピックオフ、電磁オシレータ、そして温度センサなどが内蔵されていて、これらの部品を使うことで質量流量を計測します。電磁ピックオフは、チューブのねじれによる位相差信号を検出し、電磁オシレータはチューブを固有振動数で振動させ、温度センサはチューブの熱変化による弾性係数を補正しています。

コリオリ式流量計は、流入口と流出口のフランジ、マニフォールド、そして上記の電磁ピックオフや電磁コイルなどが取り付けられた2本のフローチューブなどで構成されています。流体は、まず流入口のフランジを通過し、マニフォールドで2本のフローチューブに分けられ、再びマニフォールドで合流してから流出口のフランジを通じて出ていきます。流体が通るフローチューブは上述の通り電磁オシレータにより振動する仕組みです。振動するフローチューブの中を流体が流れると、2本のチューブの間で逆方向のコリオリの力が作用してチューブがねじられます。このチューブのねじれ角度で生じた時間差を位相差として左右対称にフローチューブに取り付けられた電磁ピックオフによって計測します。この位相差が流れる流体の質量流量と比例するため質量流量がわかるのです。

 

コリオリ式流量計のメリット・デメリット

コリオリ式流量計には、以下5つのメリットがあります。

  1. 質量流量を直接測定できる:コリオリ式流量計はその動作原理から直接質量流量を計測可能です。他の流量計のように補正システムを必要としないので非常に便利です。
  2. 高精度に流量を測定できる:コリオリ式流量計は流量を高精度で測定できます。
  3. 多様な流体で利用できる:コリオリ式流量計を使うと一般的な液体以外にも流体の種類を選ばずに流量を測定できます。たとえば、高粘度液、スラリーなど、通常の流量計では測定が難しい流体であっても高精度に流量を測れるのです。
  4. 設置の際に直管部を必要としない:コリオリ式流量計は構造的に流速分布の影響を受けないので、他の流量計で必要とする直管部が不要になります。
  5. 脈動流でも測定できる:流量計の応答が速いので、仮に脈動成分が含まれていても追従して流量を計測可能です。

一方で以下のようなデメリットがあります。

  1. 価格が高い:コリオリ式流量計は設計・製造に高度な技術を必要とするため、他の流量計に比べて価格が高くなります。
  2. 圧力損失が大きい:パイプ内の流速が速くなるため、見かけ上は圧力損失が少ないように見えても、実際には大きな損失が生じてしまいます。
  3. 外部振動に影響されやすい:測定時に振動を利用するため、外部からの振動があると測定結果に影響が出てしまいます。
  4. 清掃が面倒:流路が複雑なので、内部の清掃をしたいときに面倒です。

これらのメリットとデメリットを考慮し、システムの要件やコスト、環境条件などを総合的に評価して、コリオリ式流量計を検討する必要があります。

 

コリオリ式流量計のおすすめはKEM製流量計

KEM製のコリオリ式流量計は、クラシック、プロ、プロプラス、スペシャリティと4つのシリーズに分類されていて、お客様のさまざまなニーズや用途にあわせて選択可能となっています。最大105MPa耐圧、水素ガス、薬液注入に適したモデル等、幅広いラインナップがあるので、燃費計測・静電塗装・接着剤や樹脂、水素ディスペンサーなどの計測・制御アプリケーションに最適です。

KEM製のコリオリ式流量計の代表的な特徴は、以下のとおりです。

  • 質量流量、密度、温度を直接計測できるほか、計算によって体積流量を計測できるようになっています。
  • 設置の際に直管部分を必要としないので、設置が簡単です。
  • 機械的にバランスの取れたチューブと優れた機械設計によって高精度の密度測定を実現しています。
  • ソフトウェアによりAPI比重を読み取り可能です。
  • 素早くセットアップできて操作も簡単です。
  • 10000Hzまでの周波数を出力可能です。
  • 危険箇所における使用に関してもATEX、IECEx、cCSAus、EAC(TR-CU)などの認証を取得しています。
  • DIN EN ISO/IEC17025:2018に準拠してDAkKS-Accereditation(ドイツ技術審査認定機関)による校正を受けています。

 

まとめ

コリオリ式流量計を選択する際には、使い勝手がよく信頼性の高いものを選択する必要があります。株式会社クローネが販売するKEM製のコリオリ式流量計は、世界で活躍している実績がある信頼性の高い流量計の一つです。多用途で利用できるコリオリ式流量計をお探しの方は、ぜひ株式会社クローネまでお問い合わせください。ご要望にあわせて最適なタイプをご提案いたします。

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