地震の測定方法とは?地震計の仕組みから海底観測網まで徹底解説

「震度5強」「マグニチュード7.0」といった数値を目にする機会は多いですが、それらはどのような技術で計測されているのでしょうか。今回は、地震の測定方法について、地震計の基本原理から種類、震度とマグニチュードの違い、日本の地震観測ネットワークまで、計測器メーカーの視点からわかりやすく解説します。
目次
地震の測定方法とは?【基本の仕組みを解説】

地震の測定とは、地面の揺れ(地震動)をセンサで捉え、電気信号に変換して数値化することです。その中核を担うのが地震計です。地震計は、慣性の法則を利用して地面の動きと内部の重りの相対的なずれを検出し、揺れを記録します。たとえば、急に動く電車の中で体が一瞬取り残される感覚をイメージするとわかりやすいでしょう。
地震計の種類と用途

地震計には、観測目的に応じていくつかの種類があります。
|高感度地震計
微小な地震を高精度で捉える地震計です。防災科研のHi-netでは、全国約800点で地震活動を常時監視しています。
|広帯域地震計
短周期から長周期まで幅広い揺れを観測できる地震計で、震源メカニズムの解析や地球内部構造の研究に活用されます。代表的な観測網がF-netです。
|強震計(加速度計)
強い揺れを正確に記録する地震計です。建物被害の評価や耐震設計に欠かせず、防災科研のK-NET・KiK-netでは全国約1,700か所で観測しています。
関連記事:加速度計・加速度センサとは?動作原理と実用例を解説
震度とマグニチュードの違い

地震に関するニュースでは「震度」と「マグニチュード」という2つの指標が必ず登場しますが、この2つは測定する対象がまったく異なります。正しく理解しておくことで、地震情報をより的確に読み取れるようになります。
震度は、ある地点での揺れの強さを表す指標です。日本では気象庁震度階級が用いられ、震度0~7の10階級で表されます。地盤や震源からの距離によって、同じ地震でも場所ごとに震度は異なります。
出典:気象庁「震度について」
一方、マグニチュードは、地震そのものの規模を表す代表的な指標です。
• マグニチュードが1大きくなると、地震のエネルギーは 約32倍
• マグニチュードが2大きくなると、地震のエネルギーは 約1,000倍
たとえば、マグニチュード7.0の地震は、マグニチュード5.0の地震に比べて約1,000倍ものエネルギーを放出していることになります。
地震の測定はどこで行われているのか?【日本の地震観測ネットワーク】

日本は、陸上から海底まで国土全体を網羅する世界最先端の地震観測ネットワークを構築しています。
|気象庁の観測体制
地震情報を発表する中心機関は気象庁です。気象庁は全国約670か所に震度計を設置し、自治体や防災科研の観測点を含めた全国約4,400か所の震度データを活用して、震度情報や緊急地震速報を発表しています。
|防災科研(NIED)の観測ネットワーク
防災科学技術研究所(NIED、通称「防災科研」)は、日本の地震観測インフラの中核を担う国立研究開発法人です。防災科研は、目的の異なる複数の観測網を全国に展開しています。
これらの観測網が有機的に連携することで、日本列島で発生するあらゆる規模の地震をリアルタイムに捉え、迅速な防災対応に活かしています。
参考:防災科研(NIED)
|海底地震津波観測網(S-net / DONET)
日本の地震観測は、陸上だけではありません。日本周辺の大地震は、その多くが海域で発生しています。そこで整備されたのが、海底に設置された地震・津波の観測網です。
そのうちの一つが、S-net(日本海溝海底地震津波観測網)です。S-netは、北海道沖から房総半島沖にかけての日本海溝沿いに、約5,700kmの海底ケーブルで結ばれた150か所の観測点を設置した観測網です。東日本大震災の教訓を踏まえて整備されました。
もう一つが、DONET(地震・津波観測監視システム)です。DONETは、南海トラフ地震の想定震源域である紀伊半島沖〜四国沖の海底に設置された観測システムです。S-netと同様に、海底でのリアルタイム観測により、南海トラフ地震への備えを強化しています。
参考:海底地震津波観測網
地震の測定を支えるセンサ技術

ここまで地震計の種類や観測ネットワークについて解説してきましたが、これらすべての基盤にあるのが「センサ技術」です。
先ほどご紹介した加速度センサは、地震計だけでなく、以下のような身近な製品にも搭載されています。
• スマートフォン(画面の自動回転、歩数計)
• 自動車(エアバッグの衝突検知、横滑り防止装置)
• 産業機器(振動監視、異常検知)
• 建築・インフラ(構造物の健全性モニタリング)
また、地震観測の分野では、IoTやクラウド技術の活用が急速に進んでいます。従来の地震観測では、各観測点のデータを個別に回収・管理する必要がありましたが、現在では通信技術の発展により、全国数千か所の観測点のデータをリアルタイムにクラウドへ集約し、瞬時に解析・配信する体制が整っています。この仕組みがあるからこそ、緊急地震速報のような「秒単位」の防災対応が実現しているのです。
災害・減災に役立つセンサーとは?【24時間測り続ける小さな技術】
まとめ

今回は、地震計の基本原理から種類、震度とマグニチュードの違い、日本の地震観測ネットワーク、そしてそれを支えるセンサ技術まで、幅広く解説しました。
地震の測定は、センサ技術と通信技術、そしてそれらを統合する観測ネットワークの総合力によって成り立っています。日本が国を挙げて構築してきたこの観測基盤は、緊急地震速報・津波警報・建物の耐震設計など、私たちの暮らしの安全を日々支えています。
株式会社クローネでは、加速度センサをはじめとする各種計測機器・センサを取り扱っております。計測に関するご質問やお探しの製品がありましたら、お気軽にお問い合わせください。











