計測機器や各種センサの原理・使い方を徹底解説

デジタル圧力計の種類と選び方【用途・タイプ別に代表機種を比較】

「デジタル圧力計を導入したいが、種類が多くてどれを選べばよいか分からない」

これは現場でよく聞くお悩みですが、ひとくちにデジタル圧力計といっても、日常の配管圧を測る汎用機から、クリーンルームのわずかな差圧を監視する微差圧計、精度管理の基準となる校正用の高精度機まで、用途によって最適な機種は大きく変わります。

本記事では、代表的なデジタル圧力計を4つのタイプに整理し、それぞれの特徴と代表製品を用途別にご紹介します。

 

デジタル圧力計を「タイプ」で整理する

デジタル圧力計は「何のために測るのか」=用途で絞り込むと、選定が楽になります。スペック表を最初から読み比べるのではなく、まずは目的で大きく分類してみましょう。

デジタル圧力計は、主に次の4タイプに分けられます。

  • ①汎用・現場測定タイプ:配管・タンク・機器の圧力を日常的に測る、もっとも使われる標準機。
  • ②微差圧・室間差圧の監視タイプ:クリーンルームや空調など、ごくわずかな圧力差を測る専用機。
  • ③高精度・校正/基準器タイプ:他の計器の精度を保証する「ものさし」となる高精度機。
  • ④特殊用途タイプ:食品容器の密封性など、特定の目的に特化した専用機。

それぞれの向く用途と代表機種を、まず一覧で押さえておきましょう。

タイプ 主な用途・現場 代表機種
①汎用・現場測定 配管・タンク・ポンプ・油圧機器の圧力測定 KDM30シリーズ
②微差圧・室間差圧の監視 クリーンルーム・空調・フィルタ差圧監視 KS3200/Halstrup/PRODUAL
③高精度・校正/基準器 計器の校正・精度管理・試験の基準 SIKA/PDR1000
④特殊用途(容器内圧) 食品・飲料容器の密封性・真空度チェック 容器内圧測定器

なお、精度は「±0.1%F.S.」のようにF.S.(フルスケール)=測定範囲の最大値に対する割合で表されるのが一般的です。接液部(せつえきぶ=測定対象の流体に触れる部分)の材質も、用途に合わせて確認したいポイントになります。デジタル式とアナログ式の基本的な違いについては、当コラムの別記事もあわせてご覧ください。

参考:デジタル圧力計とアナログ圧力計の違い

 

①汎用・現場測定タイプ:KDM30シリーズ

まず押さえたいのが、もっとも出番の多い汎用タイプです。配管やタンク、ポンプ・コンプレッサー、油圧機器など、日常的な圧力測定にはこのタイプが基本になります。

アナログの指針式は、目盛りを斜めから読むことで生じる読み取り誤差(パララックス=視差による誤差)や、数値を手作業で記録する手間が課題になりがちです。デジタル圧力計なら数値を明確に表示でき、データ管理まで一括で行えます。

|クローネ「KDM30シリーズ」の特長

クローネが自社開発・製造するKDM30シリーズは、汎用デジタル圧力計の代表格です。主な特長は次のとおりです。

  • ゲージ圧・絶対圧・連成圧の3タイプに対応し、13種類の幅広い圧力レンジから選べます。
  • 表示部の回転と本体の首振り角度を各最大330°調整できるフレキシブル表示機構で、配管の向きに関わらず見やすい位置に合わせられます。
  • 接液部には耐食性の高いSUS316Lを採用。
  • パソコンでのデータ管理に対応。

さらに無線出力に対応したモデルもあります。KDM30-α BTはBluetooth(BLE)で0.1秒サンプリングの測定が可能。KDM30-α MWはマルチワイヤレスで、1台の受信機で約32台まで(サンプリング3分以上の場合)まとめて管理できます。複数箇所の圧力を離れた場所で監視したい現場に適したモデルです。

▶ KDM30シリーズの詳細を見る

 

②微差圧・室間差圧の監視タイプ:KS3200/Halstrup/PRODUAL

クリーンルームや空調ダクト、フィルタの目詰まりなど「ごくわずかな圧力差」を測りたい場合は、汎用機ではなく微差圧計を選びます。微差圧とは、数十〜数百パスカル(Pa)といった非常に小さな圧力差のことです。

汎用の圧力計はレンジ(測定範囲)が粗いため、こうした微小な差を正確に捉えられません。

|KS3200シリーズ(クローネ)

クローネのKS3200シリーズは半導体圧力センサを内蔵したデジタル微差圧計で、加わった圧力に比例したアナログ出力と圧力表示に対応します。無線機能付きのKS3200-WL、防滴・防塵ケース(IP65)を備えたKS3200 in the BOXなどの派生モデルもあります。フィルタの差圧監視、クリーンルームや病室・隔離病棟の室間差圧、地下空間の空調、ダクト内の排気圧監視などに使われています。

▶ KS3200シリーズの詳細を見る

|Halstrup(ドイツ)

Halstrupは、ドイツのハルストラップバルヒャー社グループが手がける微差圧計・ハンディタイプのデジタルマノメーター(EMA84/EMA200シリーズ)のブランドです。校正証明書(JCSS/DAkkS)の取得にも対応し、品質管理の要求が厳しい現場でも活用できます。 ※マノメーター=圧力計

▶ Halstrup(微差圧計)の詳細を見る

|PRODUAL(スウェーデン)

PRODUAL(プロデュアル)は、自動ゼロ調整機能を備えたデジタル微差圧計や微差圧トランスミッタ(PHM-V1・DPT系)をそろえるスウェーデンのメーカーです。HVAC(空調・換気設備)やビルの常時監視、ファン・ブロアーのフィルタ監視など、継続的な圧力監視に向いています。

▶ PRODUAL(微差圧計)の詳細を見る

 

③高精度・校正/基準器タイプ:SIKA/PDR1000

現場の計器が正しい値を示しているかを保証するには、その「ものさし」となる高精度な基準器が必要です。基準がないまま測定を続けると、値の信頼性を担保できないからです。精度管理や校正の場面では、この基準器のタイプを選びます。

|SIKA(ドイツ)

クローネが輸入販売するSIKA(ジカ)のデジタル圧力計は、精度を±0.02%/±0.05%/±0.1%F.S.から選択できる高精度モデルです。ゲージ圧で最大250MPaまで対応し、防爆タイプ(L-EX/D-EX)もラインナップ。電池駆動で持ち運びやすく、大型液晶で見やすい設計です。校正証明書(DAkkS/JCSS)の取得にも対応しています。

▶ SIKAデジタル圧力計の詳細を見る

|PDR1000(PDK)

PDR1000シリーズは、現場校正の基準圧力計としても使える多機能デジタル基準圧力計です。ピーク表示やMin/Max表示、データロギング機能を備え、安全弁試験・バルブテスト・パイプライン試験・リークテストなど幅広い用途に対応します。クローネでは校正証明書の発行に対応しています。

▶ PDR1000の詳細を見る

校正の原理やサービス内容をさらに詳しく知りたい方は、当コラムの校正器の記事もあわせてご覧ください。

参考:校正器とは?圧力計や温度計に校正器が必要となる理由

 

④特殊用途タイプ:容器内圧測定器

特定の目的に特化した専用機もあります。代表例が、食品・飲料などの容器の密封性や内圧を測る容器内圧測定器です。

クローネの容器内圧測定器はダイアフラム式(薄い膜=ダイアフラムが圧力を感知する方式)のデジタル圧力計で、ゲージ圧・絶対圧・連成圧に対応します。ピークホールド機能を備え、分解・洗浄が可能で、気体・液体の両方に対応。精度は±0.25%F.S.±1digitです。

以下のような品質検査の現場で使われています。

  • 缶詰・飲料の残存空気や真空度のチェック
  • スナック菓子の袋、瓶詰め、スプレー容器などの密封性確認

▶ 容器内圧測定器の詳細を見る

 

まとめ:用途で選べば、デジタル圧力計選びは失敗しない

デジタル圧力計は種類が多く、スペックだけを見比べると迷ってしまいます。しかし「何を、どこで測るのか」という用途から入れば、見るべきタイプは自然と絞り込めます。最後に、改めて用途・現場別の早見表で整理しておきましょう。

こんな用途・現場なら 選ぶタイプ 代表機種
配管・タンク・機器の圧力を日常的に測る ①汎用・現場測定 KDM30シリーズ
複数箇所の圧力を無線でまとめて監視したい ①汎用(無線モデル) KDM30-α BT/MW
クリーンルーム・空調の微差圧を監視する ②微差圧・室間差圧 KS3200/Halstrup/PRODUAL
計器の校正・精度管理の基準にする ③高精度・校正/基準器 SIKA/PDR1000
食品・飲料容器の密封性を検査する ④特殊用途(容器内圧) 容器内圧測定器

とはいえ、実際の配管条件や測定対象によっては、どのタイプが最適か判断に迷う場面もあるかと思います。クローネでは、汎用のKDM30シリーズから微差圧計、高精度な校正用基準器、容器内圧測定器まで幅広く取りそろえ、用途に合わせた機種選定のご相談を承っています。測定対象・圧力レンジ・設置環境をお伝えいただければ、最適な一台をご提案します。まずはお気軽にお問い合わせください。

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